妻の浮気が発覚! 不貞行為の証拠集めについて弁護士が徹底解説

2019年10月07日
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妻の浮気が発覚! 不貞行為の証拠集めについて弁護士が徹底解説

名古屋市が公開している人口動態統計の概況によると、平成29年における名古屋市での離婚件数は4224組で、平成28年に比べて微増しています。離婚の理由はさまざまですが、不貞行為が原因となることも少なくないでしょう。

浮気をした妻が許せず、すぐにでも離婚したいと考えていても、妻が離婚を拒む場合は、調停や裁判によって離婚することになるケースも考えられます。その際、あなたが離婚を望む場合は、不貞行為の証拠を求められることがあります。

妻が不貞行為をしていた場合の証拠収集や、離婚に際しての注意点について、名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、不貞行為を理由に離婚できる?

妻の浮気が発覚し、もうやり直すことはできないと考えるなら、離婚という選択肢をとることもやむを得ないでしょう。

まず、妻が離婚に同意してくれるならば、協議離婚という形で、離婚届を提出するだけで離婚は成立します。しかし、妻が離婚を拒んだ場合、不貞行為を理由に離婚を進めることはできるのでしょうか。

  1. (1)不貞行為は法定離婚事由になる

    夫婦には、お互いが配偶者以外との性交渉を行わないという貞操義務があります。

    そのため、不貞行為は貞操義務違反とされ、民法第770条第1項に規定された法定離婚事由のひとつとして認められています。

    (裁判上の離婚)
    第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

    1. 1 配偶者に不貞な行為があったとき。
    2. 2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    3. 3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
    4. 4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    5. 5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。


    自分から働きかけて、配偶者以外の人と性交渉に及んだ場合だけでなく、配偶者以外の人からの誘いに乗って性交渉をすることも不貞行為に該当します。不貞行為があったと証明できれば、妻が離婚を拒否したとしても、調停や裁判によって離婚を成立させることが可能でしょう。

  2. (2)浮気と不貞行為の違い

    まず、不貞行為と浮気の違いを理解しておきましょう。

    裁判などにおける不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを指します。ふたりきりで会ったり、抱きあったりキスをしていたら浮気をしたと考える方が多いかもしれません。しかし、離婚という場面においては、肉体関係がなければ、不貞行為があったことを認められないケースがほとんどです。例外もありますが、性交渉を伴う交際であるかどうかがポイントになります。
    他方、不貞行為には該当しない浮気とされる事実によって婚姻関係が破綻した場合には、民法第1項5号該当性の問題となります。

2、不貞行為の証拠となるもの

裁判所において、不貞行為を証明するには、「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」行動していたかが客観的に分かる証拠が必要です。単独でこれら全てをカバーできなくても、いくつかの証拠の組み合わせで、不貞行為の証拠となることもあります。

証拠として認められやすいもの、条件などを解説します。

  1. (1)写真

    客観性が高く、信頼性も高いのは写真です。ただし、ふたりで写っているだけでは肉体関係があった証拠とはなりません。性交渉を前提とした場所であるラブホテルに出入りする写真が、できれば複数回あることが望ましいです。

    またどちらかの家などで、夜から朝にかけてふたりきりで長時間滞在したことを示す写真も、状況により不貞行為の証拠となりうるでしょう。さらに個人の携帯には、性交渉中の写真など、不貞行為の証拠となる情報が残されている可能性があります。

  2. (2)メールやLINE

    メールやLINEで、性交渉の約束や性交渉の感想を伝える会話があれば、証拠として認められるでしょう。前述の個人携帯内の写真と同様に、入手方法に注意が必要です。

  3. (3)SNSへの投稿

    妻や浮気相手が、SNSへ行動を写真とともに投稿している場合もあります。服装や時刻、行き先などが他の証拠と一致すれば、不貞行為の証拠の一部になりえるでしょう。また、後日削除したり編集したりする可能性もあるため、投稿を見つけ次第、画面キャプチャや印刷するなどして保存しておくとよいでしょう。

  4. (4)ホテルの領収書、クレジットカードの明細

    たり分のシティホテルの領収書やラブホテルの領収書などが出てきたら、保存しておきましょう。ただし、領収書だけでは一緒に泊まった相手はわからないため、他の証拠も必要となると考えられます。

    また、クレジットカードの明細でETC利用履歴があれば、車での外出を示す証拠となりますので保管してください。これも補助的な証拠となることがあります。

  5. (5)通話履歴や通話内容

    浮気相手との電話の通話履歴、会話の録音も、証拠となる可能性があります。性交渉そのものを示す内容は難しいと思われますが、交際の様子を示す根拠のひとつになりえるでしょう。

  6. (6)第三者の証言

    知人、友人、同僚などから、妻と浮気相手の交際について証言を得られる場合は、協力を求めましょう。

    決定的な写真を撮影したりするには、尾行などかなりの労力が伴います。仕事をしながらでは難しい場合も多いため、必要に応じて、興信所や探偵に依頼することも一案です。一定の費用はかかりますが、裁判でも証拠となるような調査報告書にまとめてもらうことも可能です。どの業者に頼めばよいか迷うときは、弁護士からの紹介を受けられることがあります。 また、証拠の入手方法には注意が必要となる場合があります。例えば、不正アクセス禁止法では、他人のIDやパスワード使って情報にアクセスすることを禁じています。不安な方は、弁護士にご相談ください。

3、男性はご用心! 妻と離婚する際の注意点

妻に離婚の原因がある場合でも、離婚に際して、自分の希望が全て認められるわけではありません。特に親権については、事前に十分に検討しておく必要があります。

  1. (1)必ず親権を取れるわけではない

    親権を決めるにあたっては、子の利益が最優先です。そのため、有責配偶者であるという事情のみをもって親権者になれないというものではなく、監護状況や監護実績、生活環境、子の年齢、虐待の有無等、様々な事情から判断されます。

    したがって、主に妻が子どもの世話をしてきた家庭では、妻が不貞行為をしていたとしても、妻に親権が認められるケースが圧倒的多数であるのが現実です。それまで子どもの監護をしてきた親が継続して子どもの監護を行うほうが、子どもにとって環境の変化が少なく、負担が軽いと考えられるためです。

    ただし、離婚する前から、夫も妻と同等に育児や家事を担ってきた実績があり、離婚後の子どもの監護環境に大きな変動がないよう準備できれば、夫に親権が認められる可能性もあります。妻と子どもの面会交流を積極的に認めることもカギとなるでしょう。

    また、妻による虐待や育児放棄があった証拠があれば、夫に親権が認められる可能性は十分にあります。

    他方、いずれに親権が認められた場合であっても、一度認められた親権を覆すことは非常に難しいため、子どもの親権を獲得したいと望む場合は、十分な準備と対策が必要です。どのようなケースでも、裁判所は「どちらが親権を持つことが、子どもの福祉にかなうか」で判断するということを覚えておきましょう。

  2. (2)妻への財産分与

    結婚している間に夫婦で築いた財産は、原則として夫婦の共同財産といえます。実質的に夫婦の共同財産といえるならば、財産の名義がどちらになっているのかは基本的に関係ありません。離婚するときには、財産分与により、婚姻中に築いた夫婦の共同財産をそれぞれの財産に分けることになります。

    例えば、結婚後、妻が専業主婦になり収入がない場合でも、夫の収入には、妻の支えによって仕事に専念することで得られた部分も含まれるはずです。したがって、妻も夫の収入に寄与していると考え、原則として、夫婦で等分することになります。

    不貞行為の証拠が認められ、たとえ慰謝料が請求できたとしても、財産分与と相殺すると、妻への支払いのほうが大きくなるケースもあります。ただし、妻が浪費をしていたなどの特別の事情があれば、分与割合を加減できる可能性もあるでしょう。

    直接交渉すると、話し合いがこじれてしまうケースも少なくありません。弁護士を通じて交渉することにより、スピーディーな解決を望める可能性が高まるかもしれません。

4、まとめ

妻の不貞行為が発覚したとなると、冷静ではいられないことでしょう。だからこそ、弁護士という第三者に一度相談し、事態を整理することをおすすめします。

不貞行為の証拠を集めなくてはならない場合は、証拠の収集についてのアドバイスを行います。また、必要に応じて信頼できる興信所や探偵事務所を紹介することも可能です。また、子どもがいるのであればなおさら、親権や養育費を含め、長期的な視点での法的なアドバイスが欠かせません。最終的には、お互いが納得のいく離婚条件にまとめることが非常に重要です。

ひとりで悩まず、まずはベリーベスト法律事務所・名古屋オフィスで相談してください。あなたの人生をより良い形で再出発できるよう力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています