不貞行為の証拠をつかむ方法とは? 慰謝料請求のポイントも解説!
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離婚はいまや珍しいものではなく、平成29年中の名古屋市における離婚件数は4000組以上という調査結果があります。多々ある離婚事由でも、司法統計でも男女ともにトップ5に入る離婚したい理由が「異性関係」、つまり「配偶者の不貞行為」です。
配偶者の浮気や不倫を疑い始めてしまうと、真実を突き止めたくなるものです。もし、事実であれば、離婚の話は別として、慰謝料を請求したい……と考えるのも、正当なものでしょう。しかし、そのためには、不貞行為の証拠を手に入れなければなりません。
しかし何が証拠として認められるのか、どう集めればよいのかと考えると、少し立ち止まってしまうかもしれません。今回は、不貞行為の証拠となるものや集め方、慰謝料請求に関して、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。
1、不貞行為の証拠になるもの、ならないもの
不貞行為に少しでも関連があると考えられるものすべてが「証拠」になる……というわけではありません。
証拠というのは、「不貞行為が確実に存在したことを、第三者でもわかるように証明できる」ものでなければならないからです。
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(1)証拠が有効となる条件とは
せっかく証拠になると思って集めたものでも、内容や集め方によっては証拠とは認められないという結果となってしまうケースは、実のところ少なくありません。
基本的に、裁判でも有効となる証拠は、「いつ」「誰が」「どこで」「何をしたか」がはっきり示されている必要があります。したがって、「誰が」「何を」しているのか不明瞭なものは、原則として証拠にはなりません。
それでも、小さな事実を積み上げることそのものは無意味ではありません。ひとつの物品やデータだけで条件を満たしている必要はなく、複数のものを合わせることによって、時間や主体、場所、行為を明らかにすることによって、「証拠」として認められることがあります。
ただし、不貞行為の慰謝料請求をする権利にも時効があります。慰謝料請求権は、不貞行為の事実や相手方を知り、訴えることが可能な状態になってから3年で消滅するとされています。そのため、証拠集めに着手したのであれば、速やかに慰謝料請求を行う準備に入るのが良いでしょう。 ただし、不貞により、離婚が余儀なくされた場合に、消滅時効の起算点を離婚時とした裁判例もあります。このような場合には、離婚から3年以内であれば、慰謝料請求ができる可能性がありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。 -
(2)こんな証拠の集め方はNG
「どのような集め方をしようと、不貞行為やその当事者が明確に証明できるなら証拠になるはずだ!」と、思うかも知れません。しかし、法律にのっとって相手を訴えるのであれば、「法を犯して獲得した証拠の能力は認められない」のが原則です。
どんな手を使ってでも証拠を入手できればいい、としてしまうと、間接的に違法行為を容認する結果となってしまいます。よって、相手のプライバシー権を重度に侵害するような方法や、「反社会的」な手段で入手した証拠は有効と認められない可能性があるため、注意する必要があるでしょう。 -
(3)不貞行為を示す証拠
不貞行為の証拠と認められる可能性が高いものは、主に次のようなものです。
- 写真やビデオ
- メールや通信アプリの文面
- 録音テープ
- ホテルの領収書
- 通話履歴
- クレジットカードの明細書
- 調査会社による報告書
いずれも、不貞行為(肉体関係)があったことを直接的に示すか、または推測させるものであることが必要です。
2、浮気・不倫で慰謝料はどれくらい請求できる?
不貞行為での慰謝料は、具体的にいくらくらい請求できるのでしょうか。浮気や不倫をされた側としては、お金をもらっても、傷ついた心が癒されるわけではありませんが、いくらでも無制限に請求をしたいと思うこともあるでしょう。
しかし、それが認められるわけではなく、慰謝料にもある程度の相場があります。
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(1)個別の事情で慰謝料額は異なる
相場があるとはいえ、完全に画一的な判断がなされるわけではありません。個別の事情を考えながら、示談交渉や裁判によって慰謝料額が判断されることとなります。
その中で、精神的苦痛の程度が大きいと判断されるような事情があれば、それだけ慰謝料の増額が見込めるのです。 -
(2)慰謝料額に影響するポイント
慰謝料額の増減に影響する事情としては、以下のようなものが挙げられます。
- 不貞行為がどのくらいの期間、続いたか
- 不貞行為の回数
- どちらがどのように誘ったか
- 婚姻生活の長さ
- 子どもがいるかどうか
- もともと家庭内が円満だったかどうか
- 不貞行為が露見してからの配偶者の態度
不貞行為の期間が長く、また回数が多ければ多いほど悪質性は高いと見なされ、慰謝料額は増える傾向にあります。また、積極的に誘った、強引に誘ったなどの事情があれば、誘った側(自分の配偶者もしくは不貞行為の相手)への慰謝料を増額させやすいでしょう。
さらに、家庭内が円満で子どももいたのであれば、より配偶者への信頼が強く裏切られたといえ、精神的苦痛も大きいと考えられるので、やはり慰謝料は増えることが多くなります。
もちろん、これらの事情に加えて証拠がしっかりとそろっていればいるほど、慰謝料も請求しやすくなるでしょう。 -
(3)不倫における慰謝料の相場
慰謝料の相場は、不貞行為が夫婦・家庭の平和に与える影響の大きさや深刻さによっても変わります。しかも、法律でいくらと金額が決められているものではありません。互いが納得すれば、ゼロ円でも1000万円でも法的な問題がないのが慰謝料です。
不貞行為の影響を大きく分けると、夫婦関係の再構築を目指す、別居する、離婚に至るという3つのパターンがあります。もっとも高額な慰謝料が認められるケースは、離婚に至ってしまったケースでしょう。しかし、そのほかの事情によっては、もっと高額の慰謝料の支払いを受けられることもあります。
3、慰謝料を請求する際の注意点
不貞行為を理由として慰謝料を請求する場合、意識しておきたい点がいくつかあります。交渉がこじれてしまうと、事態の収拾までに時間がかかり、気苦労ばかり増えてしまうものです。スピード解決を目指すためにも、心がけてみてはいかがでしょうか。
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(1)いきなりの交渉は避けるべき
多くの場合、不貞行為があったとわかったとたん感情的になり、「離婚だ」「慰謝料請求だ」と一足飛びに結論を出してしまいがちです。しかし、その方法では一時的な感情は晴れたとしても、望ましい結果には結びつくケースはほとんどないでしょう。
状況によっては、配偶者や不貞行為の相手が否認したり、逆にあなたを責め立ててきたりすることもあるでしょう。配偶者が不貞行為していることが明らかな状況であったとしても、まずは深呼吸をしてください。まずは、冷静になって証拠集めを行う判断力が求められます。 -
(2)つかんだ証拠の再確認
不貞行為の証拠を得たとしても、本当にそれが有効なものなのかを再確認しておく必要があります。あなたにとって、確かな証拠だと思うものでも、第三者にも伝わるかどうかは限りません。
たとえば写真に、配偶者や相手の顔は写っているでしょうか。録音データには肉体関係を認める発言はあるでしょうか。メールは知り合いへの冗談で済ませられる程度の文面ではないでしょうか。
不貞行為を立証するに足りない程度の証拠しかそろっていなければ、まだ交渉の場に立つべきではありません。逆に、否定されたうえ、相手が有利となるような材料となることもあります。さらに、万が一思い込みだったときは、壊れなくてもよい関係性を自ら壊してしまう結果となることもあります。慎重に確認しておく必要があるでしょう。 -
(3)弁護士に依頼するメリットとは
慰謝料請求をする際には、法律の専門家である弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。弁護士に依頼するメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 証拠の有効性を適切に判断できる
- 法律を踏まえて相手方との示談交渉を行える
- その結果として納得のいく慰謝料額の支払いを受けられる可能性が高くなる
慰謝料の交渉は、多くのケースで一筋縄ではいきません。特に、お互いが感情的になっていては、まとまる話もまとまらないものです。専門家を交えて、お互いが落ち着いて判断ができる状況を整えることによって、スピーディーな解決を目指すことが可能となります。
4、まとめ
配偶者が浮気や不倫をしているという事実を知れば、自尊心も傷つけられますし、非常につらく苦しい思いをするでしょう。不貞行為の可能性を疑うだけでも、かなりの心の負担となるものです。
そのような思いを抱えながら証拠を集めたとしても、自分自身で、冷静になって、それらが有効な証拠となるかどうかを逐一判断するのは、おそらく非常に困難な作業となるのではないでしょうか。
もしあなたが配偶者の不貞行為を疑い、証拠を集め、場合によっては慰謝料を請求して離婚しようとお考えなのであれば、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスまでご相談ください。離婚や慰謝料請求の解決実績が豊富な弁護士が、親身になって対応します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています