不貞行為の証拠としての念書、その効果とは? 名古屋オフィスの弁護士が解説
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名古屋市内でも、栄、伏見、今池など飲食店とホテルが隣接する地域は多数あります。本人が隠しているつもりでも、ラブホテルに浮気相手と入っていく姿を知人や同僚が見ていた、ということもありうるでしょう。
もしも配偶者の不貞行為が発覚したものの、離婚するかどうかまだ迷っているという場合でも、不貞行為を認めているならば、念書を作成しておくことも一案です。
離婚を決意し、慰謝料を求めて裁判で争うこととなれば、あなた自身で「相手が不貞行為をしていたという証拠」の提示を求められることがあります。そのようなときに、念書があると有利に働くことがあるためです。また、念書によって、これから家庭を大事にすると約束しやりなおすきっかけにもなりえます。
念書を作成するには、どのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。名古屋オフィスの弁護士が解説します。
1、「念書」とは
「念書」とは、一般に、約束や事実の有無を認めたことを記載した書面のことを指します。
不倫問題など、不貞行為の有無を争う場面においては、不貞行為があったことを相手が認めた場合に、相手に書いてもらう書類です。まずは、なぜ書いてもらっておいたほうがよいのかを知っておきましょう。
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(1)念書の位置づけ
執行受諾文言の入った公正証書とは異なり、念書のみをもって強制執行することはできません。しかしながら、不貞行為をした本人が記載されている事実を認め、署名押印することにより「不貞行為の事実があった」ことの証拠になりえます。
また、浮気をしてしまったが、やりなおしたいと考えている夫婦でも念書は活用されています。たとえば、念書には不貞行為に対する反省と謝罪を示し、二度と繰り返さないと約束する意味合いで作成されるケースもあるのです。 -
(2)念書の証拠能力
前述のとおり、念書そのものには法的効力はありませんが、一定の証明力を持った証拠として裁判資料に利用することは可能です。
ただし、念書があれば絶対に不貞行為を証明できるとは限りません。あくまでも立証のための一資料である点には注意してください。作成方法によっては、裁判で証拠として認められない可能性もあります。
2、念書を作成するメリットは?
念書を書かせることで具体的にどのようなメリットがあるのか解説します。
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(1)不貞行為をした相手の言い訳を防ぐ
たとえば、裁判において、不貞行為を理由として慰謝料を請求する際、不貞行為の相手が「既婚者だとは知らなかった」などと事実を認めないケースは少なくありません。
当初は事実関係を認めていたにもかかわらず、事後的にそのような言い訳をすることもあるでしょう。
事前に、事実関係を認める旨の念書を作成しておけば、裁判に発展した場合でも、相手側が言い訳できない証拠のひとつとすることが可能です。 -
(2)言った言わないの水掛け論を防ぐ
不貞行為を自白した配偶者が、その事実を認めて反省している様子だとしても、安心するのは早計です。
ひとたび裁判になったら、浮気相手と口裏を合わせて、不貞行為の否定に転じる可能性もあります。単に「相手の自白を聞いた」と主張するだけで物的証拠がなければ、不貞が認められないことが多くあります。
万が一の事態に備え、不貞行為の事実を認めたそのときに、念書を作成しておくことを強くおすすめします。 -
(3)不貞行為の証拠の確保
慰謝料請求や、離婚を争う裁判を行う際、訴えた側が不貞行為の証拠提出を求められることが一般的です。不貞行為の証拠としては、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」行ったのかが分かる証拠が必要です。
たとえば、以下のようなものが証拠として認められます。- ふたりでラブホテルに出入りしているのが分かる写真
- 性交渉が分かる写真
- 不貞行為があったと推察するに値する相手とのやりとり(メールやLINEの会話内容、会話の録音など)
- ラブホテルを利用した明細書
しかし、これらの証拠を用意するのは簡単なことではありません。多くの場合、不貞行為の証拠を残さないように注意深く行動していたり、証拠となりそうな物やデータは捨てたり削除されていたりするものです。
集めた証拠が今ひとつ決定打に欠けるものであっても、念書があれば、本人が不貞行為の事実を認めていることを示す、有力な証拠となる可能性があります。
3、不貞行為の念書の記載事項と注意点
それでは実際に念書を作成する際、どのような内容を記載すればよいのでしょうか。
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(1)念書に盛り込むべき記載事項
念書には決まった書式はありません。それでもチラシの裏などではなく、びんせんやレポート用紙など常識的な筆記用具を使うようにしましょう。
また、念書を作成するにあたり、単に「浮気をしました」と書かせるだけではなく、具体的にどのような行動をしていたのかを記載することが非常に重要です。慰謝料請求や裁判の際も、肉体関係の有無が重要視されるためです。
●身元情報
まずは、本人の氏名、住所、生年月日を記入します。次に不貞行為の相手の氏名、住所、生年月日などの身元情報も記入します。
ただ、相手の住所や生年月日は知らない場合もあるでしょう。そのような場合は、相手の携帯電話番号、職場や部署などを記載して、個人を特定できるようにしましょう。
●既婚者であることを知っていたか
不貞行為の相手が、あなたの配偶者が既婚者であることを知っていながら、性交渉に及んだのかどうかを記載します。
既婚者であることを知っていたかどうかは、相手への慰謝料請求において非常に重要なポイントとなります。既婚者であることを過失なく知らなかった場合は、相手には慰謝料を支払う義務が生じないためです。
●肉体関係の日時・回数・場所など
肉体関係について客観的な事実を記載します。何年の何月何日、何時から何時、どこで、何回、など具体的に記載しましょう。いつから関係を持ったのか、どちらから持ち掛けたのか、なども記入できるとよいでしょう。
肉体関係の有無は裁判の焦点ともいえるので、事実関係をはっきり書き記す必要があります。
●作成日時場所と署名押印
最後に、念書に記入した内容が事実であることを認める一文と、念書を作成した日時と場所を記入し、署名と捺印をさせることで、念書は完成です。 -
(2)念書作成時の注意点
●念書は自筆で作成する
念書は必ず、ボールペンなどによる自筆で書いてもらうようにしましょう。パソコンからのプリントアウトでは、配偶者があとで「自分はこんな念書を書いた覚えがない」と主張するおそれがあります。
●念書は「他人の出入りがある」場所で作成する
念書を作成するときは、他人の出入りがある場所で作成しましょう。自宅などふたりきりで作成した場合、「脅迫されて無理やり書かされた」と主張される可能性があるためです。喫茶店やレストラン、または第三者の立ち合いを頼むこともよいでしょう。作成場所についても念書に記録しましょう。
可能であれば、念書を書き上げたあと、その内容を本人に音読してもらい、それを録音しておけば、本人が書いたものであるとの証拠になるでしょう。また、念書を書くことを相手に要求しても拒絶されるのではないか、など念書の作成に不安があれば、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
離婚問題の経験豊富な弁護士であれば、話の持ち掛け方などのアドバイスをするだけでなく、交渉そのものをあなたの代理人として代行することができます。夫婦間の問題であるからこそ、冷静な第三者のアドバイスがあることで、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。
4、まとめ
念書は不貞行為をした配偶者だけでなく、その相手に対しても言い逃れを許さない効果的な書面です。配偶者が反省し、不貞行為を二度と起こさないための抑止力にもなりえます。
裁判でも証拠となる念書を作成しておけば、いざとなれば裁判で有利に進められるという切り札になります。話し合いにおいて、切り札を持っていれば、交渉を有利に進めるための大きなアドバンテージになりえます。
念書の作成方法をはじめ、浮気や離婚関連でお悩みの場合は、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスでもアドバイスを行います。弁護士が同席するだけで、話し合いがスムーズに進むケースは少なくありません。ひとりで悩まず、まずはご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています