借金を滞納していると裁判を起こされる!? 債務整理を知って早めに相談!
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借金問題に悩み債務整理を必要としている方は増えているといえます。裁判所の司法統計によれば、平成29年から令和元年度までの3年間をみても、受理された自己破産の数は毎年増加の傾向です。
借金を滞納してしまうと、しつこい督促に悩まされたり、最終的には裁判を起こされたりする可能性があり、生活に支障をきたしますので、ご自身に最適な債務整理の方法を早めに検討することが必要です。ここでは、借金を滞納してしまっている場合の対処方法について、名古屋オフィスの弁護士が解説します。
1、借金を滞納してしまってから裁判までの流れ
借金を滞納すると一般的に次のような流れで取り立てが行われます。
①電話や手紙による督促
借金を滞納すると、まずは電話や手紙(督促状)によって督促が行われ、だいたい滞納後2ヶ月まで続きます。
②内容証明郵便が届く
支払いを滞納してから2~3ヶ月程度経過すると、自宅宛てに「内容証明郵便」で一括請求書が届くことが多いです。この段階までであれば、債権者に支払いをしたい旨を申し出ると、提案内容次第では取り立てを待ってもらえる可能性があり、支払い猶予期間とも言えます。
③支払督促、訴訟など
内容証明郵便が届いても支払いをしないでいると、債権者または債権回収会社は、簡易裁判所で支払督促申立書による「支払督促申立」をすることがあります。
裁判所からの支払督促があったが異議ある場合は、速やかに督促異議申立書により異議申し立てをする必要があり、その場合民事訴訟の手続きに移行します。裁判の手続き(答弁書の書き方など)は専門的でわかりにくい場合もありますので、その場合は弁護士などに相談するとよいでしょう。
支払催促を放っておくと、裁判所で「仮執行宣言」が付され、次に述べる強制執行の可能性が生じます。
また、裁判所に訴訟を提起されることも考えられます。
④強制執行(差し押さえ)をされる
判決や支払い督促に仮執行宣言が付されると、債権者は債務者の財産を差し押さえることができます。預貯金や生命保険、給料、車などの財産は、差し押さえられてしまう可能性があるでしょう。
一般的に、実際に債権者が自ら押し掛けてきて迷惑行為をするケースはあまりないかもしれません。貸金業法によって「自宅や勤務先などを訪問したとき、債務者から退去を求められたら応じなければならない」とされているので、もし債権者が押し掛けてきた場合は、退去を要求しましょう。ただこの場合、裁判により財産や給料を差し押さえられてしまう前に早急に債務整理をする必要があります。
2、借金に困っているなら弁護士に相談! ~債務整理~
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(1)債務整理とは
債務整理とは、借金問題などを弁護士や司法書士に依頼することで、債権者と将来発生する利息のカットについて交渉したり、借金減額などを行うための手続きで、次のような方法があります。
- 過払い金請求
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
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(2)弁護士に依頼するメリット
個人再生や自己破産では、裁判所に出向いて申し立てを行い、その後も裁判所などとのやりとりが必要になるため、一定の法律知識が必要になりますが、弁護士に依頼をしていれば、それらの諸手続きを全て弁護士に任せられるというメリットがあります。
また、どの債務整理の方法であっても、弁護士に依頼して受任通知を出してもらえば、その後の債権者からの連絡は全て弁護士に行きますので、取り立てをストップできるという点は大きなメリットです。
3、過払い金請求
過払い金とは、消費者金融やクレジット会社、大手デパートカードなどの貸金業者が、利息制限法の上限を超えて取り続けていた利息のことを言います。
かつて、利息制限法は金利の上限を15~20%と定めている一方、出資法は刑事罰の対象となる金利の上限を29.2%と定めていました。そのため、利息制限法の上限を超えていても、出資法の上限を超えなければ刑事罰は科せられず、「グレーゾーン」が存在していました。この金利が「グレーゾーン金利」です。長年、貸金業者は、この「グレーゾーン金利」による金利を設定していましたが、判例は、このグレーゾーンを認めませんでした。
この本当は返す必要がなかった「グレーゾーン」部分の過払い金を取り戻すのが過払い金請求です。
現在は、法律が改正され、いわゆるグレーゾーン金利はなくなり、通常過払い金は発生しません。過払い金請求の対象になるのは、2008年以前の借金(カードローンなど)の場合です。
●メリット
過払い金請求を弁護士に依頼する場合、成功報酬を採用する弁護士が多いため、余分なコストが発生することはありません。なお、過払い金は、取引終了後10年間の消滅時効により請求できなくなってしまう可能性があります。
●デメリット
特にないと言えるでしょう。
4、任意整理
任意整理とは、裁判所を通さずに、借金を減額したり、利息(支払い済み&将来分)をカットしたりして、支払いを軽減するための貸金業者との和解手続きです。
ご自身でやることも可能ではありますが、法律事務所に依頼した方が、減額される借金の額が大きくなることが多くあります。任意整理は、将来の利息をカットする・払いすぎた利息から引き直し計算をするという特徴がありますので、早めに手続きをした方が負担の軽減は大きくなります。
●メリット
•裁判所を通さない
後ほどご説明する個人再生や自己破産の場合には、裁判所の関与のもと手続を進めることになりますが、任意整理の場合には裁判所を通さないで手続きをします。裁判所に出向くことがない点で依頼者の負担は軽いでしょう。
•任意整理する貸金業者を選べる
個人再生や自己破産の場合には、借り入れをしている貸金業者全てを対象に手続きをする必要がありますが、任意整理の場合には、状況により、一部の貸金業者だけを任意整理の対象とすることが可能です。保証人がいたり、借金をしている相手が家族や友人であったりなど、何らかの理由で任意整理する相手を選びたい場合は、メリットといえるでしょう。
•官報に載らない
個人再生や自己破産の手続きを取った場合、官報にお名前が掲載されることになりますが、任意整理の場合には、官報にお名前が掲載されることはなく、任意整理手続きをしたことを第三者に知られることはありません。
•職業制限や資格制限がない
自己破産を行った場合にはいくつかの職業に就くことが一定期間制限されてしまいますが、任意整理の場合にはこのような制限はありません。
●デメリット
•ブラックリストに掲載される
ブラックリストに載る、とは「信用情報に事故情報が載る」ことを言います。貸金業者やクレジットカードの業者は、この信用情報をもとに「この人はお金を貸しても返してくれるのか」ということを判断するため、事故情報が掲載されてから削除されるまでの間(一般的に5~10年間)は、新たにクレジットカードを作ったり、お金を借りたりすることが難しくなります。
•借金の支払いが免除されるわけではない
任意整理では、今までの借入期間や借入金額、借入時の利率によっては、現在の借金の残高からあまり減らないこともあり得ます。
•応じない貸金業者もある
貸金業者の中には、その業者の方針として任意整理に応じないとして、任意整理に協力的でない業者もいます。また、借入期間中に何度も支払いが滞ったことがある場合や、借入期間が非常に短期間だったりする場合は、任意整理に応じてくれないこともあります。
5、個人再生
個人再生とは、個人債務者の返済負担の圧縮と返済計画の立案とを支援する手続きをいいます。具体的には、現在の借金が返済困難であることを裁判所に認めてもらい、1/5程度から最大10/1までに減額された借金を原則的には3年かけて分割で返済していくことになります(住宅ローンは除かれます)。
●メリット
•自宅を守りつつ借金返済が可能
自宅を残したまま債務の整理を行える点が大きなメリットです。
•職業を維持しつつ借金返済が可能
自己破産では生じてしまう資格制限を受けることがないため、職業を変えたりする必要がない点でメリットがあります。
●デメリット
•ブラックリストに掲載される
個人再生の場合も、ブラックリストに掲載されます。
•官報に掲載される
官報に名前が掲載されることになりますが、一般人が官報を見る機会はあまりないと言えるでしょう。
6、自己破産
自己破産とは、経済的に立ち行かなくなった方が、裁判所に「破産申立書」という書類を提出して「免責許可」というものをもらい、全ての借金をゼロにし、財産の清算をする手続きです。ただし、次の場合、裁判所が免責しない場合がありますので注意が必要です。
•非免責債権
自己破産をして免責決定が出ても、全ての借金について支払い義務がなくなるわけではなく、次の債権等は免責が許可されても支払う義務を負っています。
- ①税金や罰金
- ②養育費、婚姻費用、扶養料等
- ③②に類するもので契約に基づくもの
- ④悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- ⑤故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- ⑥使用人への給料等の支払い
- ⑦知っていながら債権者名簿に記載しなかった債権
- ⑧罰金
•免責不許可
次のような場合、不当な破産を防ぐため、裁判所から免責不許可となる場合があります。
- ①財産の隠匿などの債権者を害する目的での財産隠し。
- ②換金行為などの破産手続の開始を遅らせる目的で信用取引などを行った場合。
- ③ 偏頗(へんぱ)弁済:一部の貸金業者だけ優先してかたよった返済をすること。
- ④ギャンブルや浪費による財産の減少
- ⑤詐欺的な借り入れ:貸金業者をだまして借り入れたなどの場合。
- ⑥不正な手段による破産管財人等の職務妨害
- ⑦免責許可申立前7年以内の免責取得・再生計画認可
- ⑧破産手続中の義務違反
- ⑨虚偽の債権者名簿の提出
- ⑩業務・財産に関する書類等の隠滅・偽造・変造
- ⑪破産手続中に裁判所が行う調査への説明の拒否・虚偽の説明
●メリット
•借金がゼロになる
裁判所に自己破産を申し立て、破産手続に関する決定と併せて、免責の決定も得られれば、借金を返す義務を免れることができます。
● デメリット
•ブラックリストに載る
自己破産の場合も、同様にブラックリストに掲載されます。
•官報に掲載される
官報にお名前が掲載されることになりますが、一般人が官報を見る機会はあまりないと言えるでしょう。
•就ける職業が制限される
自己破産を申し立て、破産手続開始決定を受けると、弁護士・公認会計士・弁理士・税理士等になれず、また、後見人や遺言執行者・法人理事等の資格が否定されます。
•財産が処分される
自己破産においては、本人の保有する全ての財産をもってしても借金を返すのに足りないことが必要となるため、不動産や車といった目立った資産は、破産手続の中で処分されることになります(ただし、換金して20万円以下のものは残せる場合が多いです。)また、99万円までの現金などは、生活していくのに最低限必要な財産として保有することができます。
•家族に迷惑がかかる場合がある
個人再生の場合と同様に、家族が連帯保証人になっている場合などには、本人が自己破産を申し立てたことで、本人の代わりに連帯保証人が債権者から請求を受けることがあります。
7、まとめ
借金問題はひとりで悩んだり、放っておいたりしても事態がよくなることはなく、裁判を起こされるなどの事態にも発展しかねません。借金問題を抱えたら、まず現状を正確に把握し、適切な債務整理の方法を検討するため、専門家に相談することが第一です。ご自身の借金状況や、ご家族、ご職業などの事情も踏まえて適切な債務整理の方法を選択するため、借金問題でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所・名古屋オフィスまでご相談ください。名古屋オフィスの弁護士が、適切な債務整理に全力を尽くします。
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