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自己破産で損害賠償金は免責可能? 免責されないケースについて解説

2021年06月10日
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自己破産で損害賠償金は免責可能? 免責されないケースについて解説

令和元年度、名古屋地方裁判所では新規で3453件の破産事件を受け付けています。内訳は開示されていませんが、この数値には個人の自己破産についても相応に含まれているものと考えられます。

自己破産というと、借金が帳消しになると考える方もいるでしょう。しかし、自己破産はそのような都合のよいものではありません。破産法では自己破産が認められない事由が定められていますし、たとえ自己破産が認められたとしても債務者の支払い義務が免れない債務もあるのです。

そのような債務について議論となりやすいものが、損害賠償請求です。損害賠償請求に対する免責の適用・不適用については法的な基準が定められていることはご存じでしょうか。

ここでは、自己破産をすると請求されていた損害賠償はどうなるのか、その他自己破産をしても支払わなければならないお金について、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、自己破産とは?

自己破産とは法的な債務整理手段のひとつであり、裁判所にすべての借金を帳消しにしてもらう手続きのことです。そして破産手続きとは、破産した人の財産を処分して金銭に換え、債権者(お金などを貸している人)に対し公平に分配すること>を指します。

自己破産は、保有している資産や今後の収入見込みを考慮しても、債務返済のめどが立たなくなる「支払い不能」の状態に陥った場合に申し立てることができます。

債務者から自己破産したい旨を裁判所に申し立てると、裁判所はさまざまな調査や審査などを行います。その結果、自己破産の申し立てが裁判所に認可されると、「免責許可決定」が出されます。これにより、後述する一部の「非免責債権」を除く債務の返済義務が免除されることになります。つまり、裁判所のお墨付きで債務が帳消しになるのです。

2、自己破産の流れ

自己破産は、「破産手続開始及び免責申立書」などの必要書類や、収入印紙などの申し立てに必要な費用を用意したうえで、裁判所に申し立てます。書類などが受理されると、裁判所で自己破産を申し立てるに至った経緯や、債権者数や借金の総額などについて裁判官から質問を受ける「審尋」が行われます。

審尋の結果、申し立てが認められると裁判所から「破産手続き開始の決定」が出されます。その後の破産手続きは、債務者に何も財産といえるものがない場合は「同時廃止」、ある程度の換価処分が可能な財産がある場合は「管財事件」に分かれますが、個人の自己破産の多くは同時廃止です。

同時廃止は、すでに債務者に換価処分できる財産がないことが前提であるため、破産手続き開始の決定が出された時点で実質的に自己破産が成立しています。
しかし、正式に債務を消滅させる免責手続きが開始されるためには「免責審尋」という裁判官との面談が行われます。そして免責審尋から約1週間後に裁判所から「免責許可」が出されることにより、債務が免除されることになります。

一方で、管財事件は残余財産の処分や配当などについて、債権者との調整が必要です。債務の弁済が免除される「破産手続終結決定」または「破産手続廃止決定」に至るまでは、同時廃止よりも時間を要します。

3、自己破産のメリットとデメリット

自己破産は債務を帳消しにすることができるのがメリットです。また、以下のような裁判所が定める基準以内の資産については基本的には手元に残すことができます。

  • 原則20万円未満の預金、有価証券や生命保険金などの金融資産
  • 最低限度の家財道具など


わずかとはいえ残された資産を足がかりに、債務が無くなった状態で新たな人生をスタートすることができるのです。これが、自己破産の最大のメリットといえるでしょう。

しかし、自己破産には以下のような数多くのデメリットもあります。

  • 最低限度の生活に必要な私財以外で価値が20万円以上の資産は、基本的にすべて処分、もしくは差し押さえられる。
  • 共有財産についても差し押さえられるため、共有している方も生活面の影響が避けられない。
  • 手続きのために平日の昼間に裁判所に出向く必要があるため、仕事に支障が出る可能性がある。
  • 個人の住所氏名が官報に掲載されるため、自己破産したことが知られる可能性がわずかにある。
  • 共働きの場合は配偶者の収入証明や源泉徴収票などの提出が求められることがあり、これによって配偶者などに自己破産の事実が知られる可能性があること。
  • 信用情報機関のリストに載せられるため、少なくとも5年から7年の間はクレジットカードを作ることや住宅ローンなどの借金ができなくなる。
  • 他人の借金の保証人になれなくなる。親を保証人とした借金ができなくなる。
  • 信用情報機関と連携している不動産会社の仲介では、家を借りることも難しくなる可能性がある。
  • 自己破産手続きの期間中は、警備員や生命保険募集人など一部の職業に就けない。


このことから、自己破産はあくまで最終手段であるということをご認識いただきたいと思います。

4、債務が免責されない「免責不許可事由」

自己破産を申し立てたとしても、無条件にすべての負債を免責してもらえるわけではありません。「免責」を簡単に言えば「支払う責任を免除する(今後支払わなくてもよい)」という意味です。

「免責不許可事由」は破産法第252条1項で規定されていて、該当する負債は免責の対象となりません。

  • 管財などの破産財団に属すべき財産について、意図的に隠したり、損壊させたり、または債権者に不利益な処分を行うなど、破産財団の価値を不当に減少させる行為をした場合。
  • 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく高い金利など不利益な条件で債務を負担したり、信用取引(クレジットや割賦販売など)により商品を買い入れたりして、これを著しく不利益な条件で処分した場合。
  • 特定の債権者に特別の利益を与えるために、あるいは他の債権者を害する目的で、債務を弁済したり担保の提供を行ったりしていた場合。
  • 浪費やギャンブル、株やFXなど投機的な金融取引などが原因の債務
  • 破産手続開始の申し立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、債務超過や支払い不能など破産手続開始の原因となる事実を隠して、取引の相手から信用取引により財産を取得した場合。
  • 業務や財産に関する帳簿などの書類や物件などを意図的に隠したり、偽造や変造を行ったりした場合。
  • 裁判所に虚偽の債権者名簿を提出した場合。
  • 破産手続きに関する裁判所の調査で、説明を拒否したり虚偽の説明を行ったりした場合。
  • 破産管財人、保全管理人、破産管財人代理または保全管理人代理の職務を妨害した場合。
  • 免責許可の決定や給与所得等再生などの個人再生の適用が確定した日から、7年以内の免責許可申し立て。


なお、免責不許可事由に該当した場合でも、裁判所はさまざまな事情などを勘案したうえで、免責許可の決定をする場合があります。これを「裁量免責」(破産法第252条2項)といいます。

5、請求された損害賠償はどうなる?

免責許可が決定されたとしても、破産法第253条に定める「非免責債権」は免責されません。つまり、自己破産しても、損害賠償請求された分は免責されず、支払わなければならない可能性があるのです。

この非免責債権には、以下のような損害賠償金が含まれます。

  • 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 破産者が故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求


ここで重要なポイントは、損害賠償請求の原因となった行為が破産者の「悪意・故意」または「重過失」に基づくものであるか否かということです。

たとえば、単なる過失とみなされた交通事故に対する被害者損害賠償請求権は、免責債権と認定される可能性があるでしょう。しかし、あおり運転や飲酒運転のように危険運転致死傷罪が成立する行為、あるいは被害者を殺傷する目的により発生した事故に対する被害者の損害賠償請求権は、非免責債権と認定される可能性が高くなります。

6、その他の非免責債権

損害賠償請求権のほかにも、非免責債権について以下のようなものを定めています。

  • 税金社会保険公共料金などの支払い
  • 養育費婚姻費用の負担
  • 従業員の給与および従業員からの預かり金の返還
  • 破産者が意図的に債権者名簿に記載しなかった債権への支払い
  • 罰金などの支払い

7、まとめ

自己破産は裁判所からの許可を得る必要があるため、書類の書き方から裁判官からの審尋における対応に法律の知識が必要となります。自己破産のような裁判所が関与する債務整理に直面することは、一生のうちにそう何度もないでしょう。つまり、自己破産を選択せざるをえない人は、債務整理についての経験や法律の知識など、ほとんど持ち合わせていないはずです。

あなたの代理人となった弁護士は、豊富な知見から債務者の状況を理解し、解決に向け最適な提案を行います。状況次第では、任意整理など自己破産以外の債務整理についてもご提案できるでしょう。弁護士へ依頼し、弁護士が受任通知を債権者に送り、それが債権者に届いた時点で取り立てが一時的に止まるだけでなく、手続きも一任できますし、審尋の際に同席することも可能です。あなたが一人で債務整理に取り組むよりもよい結果が期待できます。

ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士は、自己破産など債務整理に関するご相談を受け付けております。債務整理についてお悩みであれば、ぜひお早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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