公然わいせつ容疑で身内が逮捕!? 家族にできることを弁護士が解説
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夫や息子が公然わいせつ容疑で逮捕されたと聞けば、誰であれ心配になるはずです。
「早く警察署から出してあげたいけど、まず何をすればよいのか?」
「これから夫(息子)はどうなる?」
「未成年者でも逮捕されるのか?」
公然わいせつ罪や刑事事件の流れなどを知らなければ、あらゆる疑問が浮かんでくるものではないでしょうか。
この記事では、夫や未成年の息子が公然わいせつ容疑で逮捕されたことを想定して、家族にできることを名古屋オフィスの弁護士が解説します。逮捕されるケースや逮捕後の流れについてもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1、公然わいせつ容疑で逮捕されるケース
まずは、公然わいせつ容疑で逮捕されるケースから紹介しましょう。
公然わいせつ容疑で逮捕されるケースとしては、以下のできごとが考えられます。
- 公園で女性に陰部を見せつけた
- スーパーの駐車場に停車中の車内で自慰や性交行為をした
- 通行人に見えてもおかしくない状態で自宅の窓から陰部をさらした
- インターネットで全裸などをリアルタイムで配信した
公然わいせつ罪とは、刑法174条に明文化されている、公然とわいせつな行為をして問われる罪です。「公然とわいせつな行為をする」とは、不特定もしくは多数の方が目撃できる状態で陰部や裸体を露出したり、性交や自慰を見せたりすることを指します。
公然わいせつ罪は、公然の場でわいせつな行為をすることによって問われる罪です。特定の相手に見せつけたなど、具体的な被害者がいなくても、公然わいせつ罪の容疑で逮捕される可能性もあります。注意してください。
たとえば、先ほど挙げた例の中にある、自宅の窓から陰部をさらした場合においては、たまたま通りかかった方に通報されることもあれば、通報を受けた警察官によって逮捕されることもあるでしょう。
なお、本人が犯行を否定している場合や、共犯者がいて証拠隠滅の可能性があると警察に判断された場合などは高確率で逮捕されると考えたほうがよいでしょう。また、たとえ未成年であっても、14歳以上であれば少年事件の被疑者として逮捕されます。未成年だからといって公然とわいせつな行為をしていいわけではない点に注意が必要です。
2、公然わいせつ容疑で逮捕された後の流れ
次に、公然わいせつ容疑で逮捕された後の流れを解説します。基本的には、一般的な刑事事件と同じ経緯をたどることになります。
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(1)警察による逮捕と留置のための取り調べ(最大48時間)
公然わいせつ容疑で逮捕された後、まず行われるのが警察による取り調べです。罪を犯した可能性があると疑われ、捜査対象になった時点で、あなたの身内は「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ばれる立場になります。ここでは、主に犯罪事実に関する認否を確認したり、その時点で収集してある証拠を元に今後「勾留」という最大20日間の身柄拘束が必要か否かを判断し、勾留の必要があると考えたときは48時間以内に書類及び証拠物と共に検察官に送致します。
警察による取り調べは最大で48時間(2日間)行われ、取り調べが終わるまで被疑者は留置場で過ごすことになります。 -
(2)送検・検察による取り調べ
警察が勾留の必要があると判断した場合は、被疑者の身柄は「送検(そうけん)」されます。送検とは、警察が検察へ事件のデータや被疑者の身柄を送致することを指します。
送検後は、検察で改めて取り調べを行います。検察での取り調べの結果によって、検察官が勾留する必要があるか否かを決めます。この判断は検察官が被疑者を受け取ったときから24時間以内にしなくてはなりません。 -
(3)勾留請求もしくは釈放
もし、被疑者が逃亡する、証拠隠滅などのリスクがある場合など、検察官が逮捕の合計72時間だけではなく、それ以上の身柄拘束が必要と判断した場合は、検察官は裁判所に対して「勾留請求(こうりゅうせいきゅう)」を行います。
勾留とは、逮捕後に被疑者の身柄を引き続き拘束することです。裁判所で勾留が認められれば、被疑者はそのまま最大で20日間、身柄を拘束されることになります。勾留請求されなかったり、勾留請求が裁判所に却下されたりした場合は釈放されます。
ただし、釈放=無罪ではありません。在宅捜査や在宅起訴など、警察や検察で拘束されないまま操作が行われ、起訴されることになります。被疑者の身柄を拘束しない状態で、捜査は続きます。警察や検察に呼び出されたら出頭して捜査に協力しなければならず、出頭を拒否し続けると再逮捕される可能性もあるでしょう。
なお、逮捕されてから勾留が始まるまでの間は、被疑者と面会できるのは弁護士のみと限られます。たとえ被疑者が未成年者でも、家族は面会できません。
なお、勾留が決まってからのプロセスは、被疑者の年齢によって異なります。被疑者が成年の場合は刑事事件、被疑者が未成年(14〜19歳)の場合は少年事件として扱われるためです。逮捕されたのが未成年者だった場合は、以降の「3、被疑者が未成年者だった場合における、勾留以降の流れ」を参考にしてください。 -
(4)起訴・不起訴・略式請求の決定
勾留後は、検察によって起訴・不起訴、もしくは略式請求のいずれかが決まります。不起訴以外の結論が出た場合、「被疑者」は「被告人」へと呼び名が変わります。
また、起訴されてしまった場合は、被告人はそのまま身柄を拘束されてしまいます。執行猶予付きの判決が言い渡されるか、保釈が認められるまで自由を得ることはできません。
一方、不起訴および略式裁判となれば、すぐに身柄の拘束は解かれ、日常生活に戻ることができます。
略式裁判とは、書類の手続きだけで判決が出る裁判のことです。公然わいせつ罪で略式裁判となった場合は、100万円以下の「罰金」または「科料(かりょう)」の刑罰が科されることとなります。なお、科料とは1000円以上1万円未満の財産刑のことを指す量刑です。1万円以上の財産刑は罰金と呼ばれています。 -
(5)裁判による判決
起訴されると、1〜2ヶ月後から刑事裁判が開かれ、裁判官によって判決が下されます。有罪判決が出れば、懲役もしくは罰金刑を科せられることとなるでしょう。
ただし、「執行猶予(しっこうゆうよ)」付きの判決が出れば、有罪判決を受けてもすぐには刑務所へ収監されません。身柄の拘束は解かれ、日常生活に戻ることができます。執行猶予とは、被告人に更正する機会を与える対処のことです。
3、被疑者が未成年者だった場合における、勾留以降の流れ
未成年者の場合でも、悪ふざけなどが高じて、公共の場でズボンを脱ぐなどによって、公然わいせつ罪に問われるケースがあります。被疑者が未成年の場合は「少年事件」と呼ばれ、送検までの手順は成年の被疑者と同じ流れがとられますが、以降は、反省と自覚と更生を促すための方法が模索されます。
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(1)観護措置もしくは在宅観護の決定
少年事件においては、勾留後に家庭裁判所が「観護措置(かんごそち)」の必要性を判断します。観護措置とは、被疑者を少年鑑別所へ収容することです。
少年鑑別所へ収容された場合、4週間〜最長で8週間は少年鑑別所で過ごしながら少年審判を待つこととなるでしょう。反対に、観護措置の必要がないと判断されれば被疑者は釈放となり、続いて在宅観護を受けることとなります。在宅観護とは、少年事件で在宅による捜査を受けることです。 -
(2)家庭裁判所への送致
家庭裁判所への送致も、少年事件でのみ行われる流れです。14〜19歳の被疑者が起こした事件は、基本的にすべて家庭裁判所へ送致されます。
送致を受けた裁判所は調査官による調査を行い、少年審判の必要性を判断します。審判不開始(少年審判の必要がないと判断されること)となれば、被疑者は釈放されます。もちろん、前科もつきません。 -
(3)少年審判による処分の決定
少年審判による処分の決定も、少年事件でのみ行われる流れです。少年審判は家庭裁判所で行われ、下される処分には以下の4つがあります。
- 保護処分(保護観察または少年院・児童自立支援施設等送致へ送致)
- 児童相談所長などへ送致
- 検察へ送致(逆送)
- 不処分
不処分は、刑事事件の無罪と同じ意味となりますので、不処分が確定すれば被疑者は釈放されます。
4、まとめ
家族が公然わいせつ容疑で逮捕されたら、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。家族との面会が禁止されている期間であろうと、弁護士であれば被疑者に面会できます。精神的にも孤独な状態に陥りやすい被疑者の精神面でも心強いサポートとなるでしょう。
早い段階で弁護士が面会すれば、冷静に判断できるようアドバイスをするほか、被害者との示談交渉を進めることも可能です。さらに、弁護士であれば、勾留を防ぐよう検察へ働きかけることも可能となります。勾留が決まると会社や学校を長く休むことになるため、仮に不起訴や無罪となって釈放されてもスムーズな社会復帰が難しくなる可能性があるでしょう。1分でも早く家族の釈放を目指し、不起訴や審判不開始を獲得するために、なるべく早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスは、名古屋駅からも近く、立ち寄りやすい立地にあります。公然わいせつ事件に対応した経験が豊富な弁護士がスピーディーに対応しますので、お気軽にお問い合わせください。
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