公然わいせつ罪で通常(後日)逮捕される可能性と日常生活への影響は?

2018年09月28日
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公然わいせつ罪で通常(後日)逮捕される可能性と日常生活への影響は?

「酔った勢いで裸になってしまった」「駐車場の車内で自慰行為に及んだ」など、公然わいせつ罪に該当する行為をしてしまい、後悔と不安感に襲われているという方もいるのではないでしょうか。特に気になるのは通常(後日)逮捕の可能性や日常生活に与える影響です。

現行犯逮捕されるケースが多い公然わいせつ事件ですが、通常逮捕(現行犯逮捕ではなく、通常(後日)逮捕されますので、俗に「通常(後日)逮捕」と呼んだりもします。)もあり得ますので、軽く捉えることもできません。まずは公然わいせつ罪について知り、現状把握と今後の対策を考えておきましょう。

この記事では、公然わいせつ罪の概要と通常(後日)逮捕の可能性、考えられる影響と対処法を解説します。

1、公然わいせつ罪とはどんな犯罪か

公然わいせつ罪とは、不特定または多数人の目に触れる場所でわいせつな行為に及ぶことで成立する犯罪です。
実際に人目に触れているかどうかは問わず、人目に触れる可能性があれば罪になり得ます。

  1. (1)公然わいせつ罪の具体的行為と処分

    公然わいせつ罪に該当する行為を具体的に挙げると、路上を全裸で歩く、公共の乗り物内で陰部を見せつける、公園や駐車場の車内で性交に及ぶといった行為のほか、わいせつな動画や画像を誰もが閲覧できる状態でネットを使ってリアルタイム配信することなども該当します。
    処分については刑法174条で「6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」と定められており、性犯罪の中では比較的刑の軽い犯罪と位置づけられています。

  2. (2)公然わいせつ罪の被害者とは

    公然わいせつ罪は痴漢や強姦と違い、直接体に触れる犯罪ではないこと、また保護法益が健全な性秩序ないし性的風俗とされていることから、「被害者なき犯罪」と呼ばれることがあります。
    ただし、実質的には被害者がいると捉えられることがあります。陰部を見せつけられた方や、公然わいせつ事件が起きたマンションの管理人などがこれに当たります。
    公然わいせつ行為を目撃した実質的被害者が精神的な苦痛を感じているなどのケースでは、損害賠償請求される可能性もあります。
    公然わいせつ罪の被疑者が不起訴処分を得ることを目的に、実質的被害者との示談をおこなうこともあります。

  3. (3)公然わいせつ事件で逮捕された場合の勾留期間は?

    公然わいせつ事件を含む刑事事件では、逮捕されると留置所に収監され、逮捕から48時間以内に送検、24時間以内に勾留請求されます。
    言い換えれば、送検や勾留請求を回避できれば、逮捕後72時間以内には釈放されて帰宅することができるわけです。
    逮捕後の数日がひとつの大きな山場となるでしょう。
    もっとも、公然わいせつ事件の場合は行為や様態が悪質でなければ、勾留されずに在宅事件に切り替えられることも珍しくありません。
    捜査機関からの呼び出しには応じる必要がありますが、日常生活を送ることができるのは大きなメリットです。

  4. (4)少年事件の場合はどうなるのか

    思春期に見られる性衝動の高まりやストレスなどから、少年(未成年)が公然わいせつ事件を起こすことがあります。
    事件を起こしたのが少年であっても逮捕・勾留されることに変わりはありませんし、14歳以上であれば刑事罰を受ける可能性もあります。

    成人事件では不送致になることがありますが、少年事件の場合、捜査後は家庭裁判所に全件送致されます。
    厳しい刑罰を与えるのではなく、よほど悪質な事件でない限りは、保護処分や教育的措置などがおこなわれることが通常です。
    成年と比べて必ずしも処分が軽くなるわけではなく、むしろ長期間拘束される可能性もあります。
    少年事件では本人の更生や保護を目的としていることから、内面を観察し、どのような生活環境で暮らしているのか、心理的な異常性が認められるのかなどを、慎重に見極める必要性が高いからです。
    事件の様態にもよりますが、すぐに釈放されず、更生施設や少年鑑別所に送られる可能性もあるでしょう。

2、公然わいせつ罪で通常(後日)逮捕はあり得るのか?

ここからは、公然わいせつ罪での通常(後日)逮捕はあり得るのか、あるとしたらどのようなケースなのかを解説します。

  1. (1)現行犯逮捕と通常(後日)逮捕の違い

    まずは、現行犯逮捕と通常(後日)逮捕の違いを押さえておきましょう。
    現行犯逮捕とは、公然わいせつ事件が起きたまさにそのとき、その場所で、私人や警察官によって逮捕されることです。
    通常(後日)逮捕とは、裁判所による逮捕状に基づく逮捕のことで、私人がおこなうことはできません。逮捕状の請求には一定の証拠が必要となりますので、通常(後日)逮捕は防犯カメラの映像や目撃証言などの証拠がそろっている状態だと考えられます。

    単独犯による公然わいせつ事件では、証拠があっても即座に逮捕状が請求されるわけではなく、任意同行のうえで事情聴取を受けるケースが多くなります。
    反対に、組織的な犯罪では、証拠隠滅や逃亡のリスクが高いため、証拠がそろった段階で逮捕状が請求されるケースが多くなります。

  2. (2)通常(後日)逮捕の可能性があるケース

    公然わいせつ事件の多くは現行犯逮捕によって身柄が確保されます。
    具体的には、目撃者や被害者が直接取り押さえる、通報によって駆けつけた警察が逮捕するなどのケースです。
    とはいえ、通常(後日)逮捕された事例も存在しますので、通常(後日)逮捕されることはないと安心してはいけません
    たとえば以下のケースでは逮捕状が請求され、通常(後日)逮捕される可能性があります。

    • 多数の目撃者から通報があった
    • 防犯カメラの映像で犯行を確認できる
    • 証拠があるのに不合理に否認している
    • 証拠隠滅や逃亡のリスクが高い
  3. (3)起訴処分を受けた場合に考えられる影響

    公然わいせつ罪で通常(後日)逮捕された後、起訴されて裁判となれば、有罪判決がくだされる可能性が極めて高くなります。
    前科がつくことになるため、解雇や退学のほか、就職や結婚など今後の人生に悪影響を及ぼすリスクもあります。
    とはいえ、公然わいせつ事件は比較的軽微な事件であることも多いため、懲役刑が言い渡されても執行猶予がつく可能性があります。
    執行猶予がつけば直ちに刑務所に収監されるわけではなく、別件で罪を犯さない限り日常生活を送ることができます。
    執行猶予がつくケースは、たとえば以下の場合です。

    • 初犯である
    • 真摯に反省していて再犯リスクが低い
    • 実質的な被害者に謝罪と賠償が尽くされている


    公然わいせつ事件では、まずは不起訴処分を目指しますが、起訴されてしまっても執行猶予つき判決を得ることが大切です。

3、通常(後日)逮捕が不安ならまずは弁護士に相談を

「通常(後日)逮捕されるのではないか」「自首すべきではないか」などの不安に駆られたとき、最善策として考えられるのは弁護士への相談です。
そもそも自らの行為が公然わいせつ罪に該当するのか、通常(後日)逮捕される可能性がどの程度なのかは、プロに聞くのがベストです。
万が一逮捕された場合でも、逮捕前にアドバイスを受けておくことで取り調べに適切な対応ができますし、検察官や裁判所へ弁護士が働きかけることで早期釈放につながりやすくなります。
不起訴処分を得るために被害者との示談をする場合でも、弁護士のサポートは必須となります。
早めに対処しておくことで今後の流れに影響を与えますので、弁護士への相談で不安な点をクリアにしておくといいでしょう。

4、まとめ

今回は、公然わいせつ罪の概要と通常(後日)逮捕の可能性、起訴後の影響や対処法を紹介しました。
公然わいせつ罪は現行犯逮捕されることが多い犯罪ですが、目撃証言や防犯カメラの映像が証拠となり、通常(後日)逮捕されるケースもあります。
逮捕後に起訴され前科がつけば、今後の人生を大きく左右しかねません。公然わいせつ罪の正しい知識を身につけて、通常(後日)逮捕されてしまう前にできることを実践するべきです。
まずは現状を把握したうえで、通常(後日)逮捕の可能性も含め、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
公然わいせつ罪でお困りの際はベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスまでご連絡ください。名古屋オフィスのスタッフが丁寧にお話をうかがい対応をさせていただきます。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています