児童買春で逮捕された場合の対処法とは?
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2018年11月、愛知県警岡崎署は、小牧市内で18歳未満の少女に現金を渡す約束をして、みだらな行為をした35歳の男を逮捕しました。
児童買春は決して許されない犯罪です。しかし、近年は「パパ活」という言葉も流行しており、SNSなどを通じて安易な行動に出てしまう未成年者も多いようです。
節度ある成人として、軽率な行動をしないことが最善の策ではありますが、どのような行為が児童買春に該当するのか、理解しておくことも必要でしょう。万が一逮捕に至った場合の対処法とあわせて、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。
1、児童買春の定義と、問われる罪状
児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」において定められている犯罪です。この法律は「児童ポルノ法」「児ポ法」などと略されることもあります。
この法律において、「児童」とは男女問わず18歳未満の者を指します。
「児童買春」とは、以下の3者を対象に、対償を供与する、または供与の約束をしている上で、当該児童に対し、性交もしくは性交類似行為をすること、または自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器など(性器、肛門または乳首をいう)を触ることや、児童に自己の性器などを触らせることを指します。
- 児童本人
- 児童に対する性交などの周旋をした者
- 児童の保護者または児童をその支配下に置いている者
なお、「性交類似行為」とは、実質的に見て性交と同視し得る態様における性的な行為を指し、性交を模して行われる手淫、口淫行為、同性愛行為などとされています。
このような行為をした場合、どのような罪に問われるのでしょうか。
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(1)児童買春罪
児童買春罪は、その名の通り、児童買春を行ったものを罰する法律です。
法定刑は、「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処すると規定されています。 -
(2)児童ポルノ製造罪・所持罪・提供罪
児童買春は、その態様によっては他の罪を同時に問われる可能性があります。児童買春の際に、動画や写真を撮影していた場合は、「児童ポルノ製造罪」に問われる可能性が高いでしょう。
児童ポルノ製造罪における刑罰は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と規定されています。
なお、児童に対して直接わいせつな行為をしていなくても、児童ポルノを所持しているだけでも「児童ポルノ所持罪」に問われます。これは、未成年者のわいせつ画像などを「自己の性的好奇心を満たすために所持」することを禁じています。
児童ポルノ所持罪の刑罰は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と規定されています。
児童ポルノを他人に提供する「児童ポルノ提供罪」の法定刑は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と規定されています。
さらに、不特定多数に提供・公然と陳列させた場合は、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」と、より重い刑罰に処されます。 -
(3)青少年保護育成条例
愛知県の青少年保護育成条例では、未成年に対するわいせつ行為を第14条1項において禁止しており、これに違反すると「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されることとなります。
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(4)強制わいせつ罪
暴行・脅迫を用い、相手の性器などを触る・自分の性器を触らせる・抱き着く・衣類を脱がせるなどの行為をすると、強制わいせつ罪が成立します。
被害者が13歳未満だった場合、相手の同意があったとしても強制わいせつ罪が適用されます。強制わいせつ罪の法定刑は、「6ヶ月以上10年以下の懲役」と、罰金刑の設定がなく、児童ポルノ法違反よりも重い刑罰に処されることになります。 -
(5)強制性交等罪(旧強姦罪)
暴行・脅迫を用いて相手に対して性交などをした場合、強制性交等罪が成立します。
被害者が13歳未満だった場合は、たとえ相手の同意があったとしても強制性交等罪が適用されます。刑罰は「5年以上の有期懲役」と、非常に重いものとなっています。
なお、ひとつの行為が複数の犯罪に該当する場合、刑罰が重いほうが適用されます。つまり、児童買春を行い、たとえ児童本人と同意があったとしても、相手が13歳未満であれば、強制性交等罪や強制わいせつ罪が適用され、罪に問われる可能性があるということです。
2、児童買春で逮捕! 早期解決するには
万が一、児童買春の容疑で逮捕されるようなことがあれば、迷わず弁護士に相談してください。重すぎる刑罰が科されないためには、弁護活動にいち早く着手することが肝要です。
また、逮捕に先立って、警察から任意出頭を求められたら、その時点で、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)まずは弁護士に相談し、早期釈放を目指す
逮捕されると、警察で最大48時間の取り調べを受け、その後検察に送致された場合さらに最大で24時間の取り調べを受けます。
この72時間は、原則として家族であっても面会することはできません。しかし、弁護士であれば、この期間も自由に何回でも接見し、直接アドバイスやサポートを行うことが可能です。
72時間の取り調べ後も、引き続き身柄を拘束して捜査が必要と判断された場合、「勾留(こうりゅう)」が請求されます。これが裁判官により決定されると、10日間ものあいだ身柄を拘束されます。さらに勾留が延長されると最長で20日間身柄を拘束され、仕事にも家庭にも戻ることができません。
一方で、勾留が認められるのは「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」がある場合などに限られます。弁護士を依頼することで、捜査に協力する姿勢と、逃亡と証拠隠滅のおそれがないことを捜査機関に示すことができます。これによって身柄の拘束を解かれる可能性が高まるでしょう。
身柄の拘束が解かれ、事件に関する捜査書類のみ検察に送致すると判断された場合は「在宅事件扱い」となります。起訴・不起訴が決まるまで、日常生活を送りつつ要請に応じて出頭し、引き続き取り調べを受けることになります。 -
(2)故意でなかったと主張する場合、意見書を作成する
原則として、相手が18歳未満だと知らなかった場合は、児童買春の罪に問われることはありません。児童買春の罪は故意犯であり、行為者に「相手が18歳未満の者であるかもしれないという認識」がなければ処罰することができないからです。
ただし、やみくもに知らなかったと主張しても意味がありません。「18歳以上だと思い込んでいた」という主張を認めてもらうためには、相手が18歳以上であると判断した合理的理由があったことを捜査機関に示し、認めてもらう必要があります。
弁護士に取り調べ段階から相談することで、証拠や自分の考えを、捜査機関に提出する「意見書」としてまとめてもらうことも可能です。自分の供述だけで調書が作成されるよりも、冷静な弁護士の視点も含まれることで、自分の意見が伝わる可能性を高めることができます。
また、当時の服装や外見、相手とのメールやSNSでのやりとりなど提示するにあたっても、刑事事件の対応経験豊富な弁護士であれば、効果的な方策がとれるでしょう。 -
(3)罪を認める場合、示談を目指す
罪を認める場合、罪を軽くするためにもっとも重要な方法は、被害者との示談交渉を行うことです。
「示談(じだん)」とは、事件の当事者同士が話し合い、解決を図ることを指します。加害者は、被害者に対して謝罪と賠償を行う一方、被害者には、加害者を許すという意味を持つ「宥恕(ゆうじょ)の意思」を「示談書」において示してもらうことを目的としています。
児童買春のケースでは、未成年に対する性犯罪ということもあり、示談の成立には困難が伴うことが予想されます。しかし、示談の有無や、被害者の処罰感情は、被疑者の処分に大きな影響を及ぼします。被害者のプライバシーに最大限配慮し、客観的な事実を冷静に判断してもらえるよう、第三者である弁護士を介して交渉を行うことが重要です。
示談交渉が決裂した場合も、捜査機関に対して、補償を行おうと努めたなど反省の態度を示すこととなりますので、無駄にはなりません。 -
(4)自首
捜査機関に発覚する前であれば、自首することも可能です。自首をすれば、多くの場合で量刑が軽くなる可能性が高まります。
ただし、すでに被害届が提出されていて、捜査が開始されており、自分が犯人だと判明している場合は自首が成立しないこともあるので、注意が必要です。自首するかどうかの判断も、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士には守秘義務がありますので、心当たりのある行動はどんな内容でも包み隠さず話しましょう。状況に応じた最善策を検討します。当然、相談の内容を外部に漏らすことはありません。
3、まとめ
児童買春は、刑事罰も、社会的な制裁も非常に重い犯罪です。そのため、絶対に関わらないというのがもっとも重要と考えられます。
しかし、なんらかの事情で児童買春を行ってしまったかもしれないと不安な方もいるかもしれません。その場合は、すぐにでもベリーベスト法律事務所名古屋オフィスへご相談ください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が、状況に応じた対策を迅速に提示いたします。
関係者全員の将来に悪い影響を及ぼさないよう、さまざまな面から判断し、最良の結果となるよう、名古屋オフィスの弁護士が力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています