リフォーム詐欺で逮捕された! 逮捕後の流れを弁護士が解説
- 財産事件
- リフォーム詐欺
- 逮捕
平成29年度の上半期においては、愛知県や市の消費生活センターに145件の修理・修繕などに関する相談があり、前年同時期と比べて2割増加しています。度重なるリフォーム詐欺などの発生を受け、名古屋市や名古屋市消費生活センター、愛知県警でも悪質商法に対する注意喚起が行われています。
つまり、これだけ詐欺業者が多いということです。会社の業務を教えられたとおりに行っていたとしても、それが詐欺罪(刑法246条)が成立する行為であるケースもあると考えられます。
また、仮に詐欺罪が成立しない行為であるとしても、消費者契約法などにより、無効な契約であるとし、工事代金の返還請求を受けることになる民事上の紛争リスクもあります。
そこで今回は、刑事上の問題点にフォーカスし、自分がリフォーム詐欺に加わってしまった際に問われる罪と逮捕された後の流れや対処法について、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。
1、リフォーム詐欺とは
詐欺とは、人をだまし金銭的な被害が生じさせる行為です。たとえば、リフォームの必要がない建物の所有者に「外壁を塗り替えないと傷みが激しくなります」「屋根のリフォームをしないと水漏れするおそれがあります」などと相手の不安をあおって契約させ、工事をせずに金銭を受け取る行為は詐欺にあたります。また、アルミサイディング外壁など複数の工事を請け、一部の工事をせずに高額な工事費用を請求するといった行為も詐欺にあたる可能性があります。
自分の仕事が一般的な営業行為なのか、それとも詐欺行為なのかを判断するためにはリフォーム詐欺の典型的な手口を知っておくことが大事です。知らないうちに詐欺行為へ加担していないか、チェックしておきましょう。
-
(1)飛び込み営業と無料点検業務
ただの訪問販売ではなく、客から依頼されずに点検業務を行うことを会社から指示されているのであれば、詐欺に加担している可能性が考えられます。無料点検をうたって客の興味を惹きつけ、「このままでは水漏れのおそれがある」「地震が起きたら倒壊する可能性が高い」などと不安をあおったことがある場合は注意が必要です。
-
(2)契約をせかす
契約を結ぶ際には、リフォームの具体的な内容が決まっていなければなりません。しかし、建物のリフォームは施工方法にも用いる素材にもさまざまな選択肢があり、対象箇所が複数あるケースも珍しくなく、簡単な点検をしただけで契約を結ぶことは一般的に困難と考えられます。それにもかかわらず、とにかく契約を急がせるような指示を会社から受けているとすれば、詐欺に加担してしまっている疑いが強くなります。
-
(3)何度も勧誘する
会社から「相手が契約を結んでくれるまで何度も話をしろ」という指示があった場合も、詐欺に加担している可能性があります。一般的に悪徳業者はしつこい勧誘を行い、脅しや泣き落としなどの方法を用いて強引に契約を結ぼうとします。直接または間接的に、そうした契約の取り方をするように命じられた場合は気をつけるべきでしょう。
-
(4)追加契約を迫る
一度契約を結ぶと、追加の契約を持ちかけた際に相手は断りにくくなります。この心理を利用して契約後に「実はここも直したほうがいい」「あそこも直す必要がある」と言い出すのも詐欺業者の手口のひとつです。会社から契約を結んだら後出しで追加契約を持ちかけるように言われている場合、詐欺の片棒を担がされているおそれがあります。
2、リフォーム詐欺に対する刑罰と逮捕後の流れ
リフォーム詐欺は法律上どのような罪となり、有罪となればどの程度の刑罰が科されるのでしょうか。ここでは、リフォーム詐欺の罪と逮捕後の流れについてご説明します。
-
(1)詐欺罪について解説
リフォーム詐欺をすると、刑法246条に定める詐欺罪に該当する可能性があります。
詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させ」ることによって成立します(刑法246条1項)。
「欺いて」とは、人を錯誤に陥らせる行為をすることをいいます。
また、「財物を交付させ」るとは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為によって財物の占有を自己又は第三者が取得することをいいます。
これらをまとめると、以下の段階によって詐欺罪は成立します。- ①被害者を錯誤に陥らせる行為をする。
- ②被害者が錯誤に陥る。
- ③被害者が、錯誤に基づいて、財産的処分行為をする。
- ④財産的処分行為によって、財物等が、加害者や第三者に渡る。
- ⑤被害者に損害が発生する(なお、本要件については諸説あり)。
リフォーム詐欺では、本来なら必要がないリフォームを、さも必要であるかのように説明しだまします。それによって費用の支払いを受ければ、金銭的利益を得たことになり、詐欺罪の成立要件を満たすことになるでしょう。
詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役であり、有罪となれば罰金では済みません。人をだまして利益を得る行為は、それだけ重い罪なのです。
また、詐欺罪については、未遂の場合にも処罰されます(刑法250条)。
詐欺未遂罪は、詐欺罪の実行の着手が認められる時点、すなわち上記①の欺罔(ぎもう)行為を開始した時点で成立し、被害者が②の錯誤に陥ったことを必要としません。 -
(2)リフォーム詐欺で逮捕されたら
逮捕されると、警察へと連行されます。それから警察での取り調べが48時間を上限として始まります。それが終了すると、検察へと送致され、24時間を上限とする取り調べが行われます。この合計72時間は、家族との面会も認められず、警察や検察によって詐欺行為の具体的内容を聞かれたり、調書を取られたりするのです。
検察では刑事裁判にかけるかどうかの判断が行われますが、取り調べが終了しない場合や証拠隠滅の可能性がある場合は、身柄拘束(勾留)が引き続き行われます。延長も含めると最長20日間、身柄が拘束される場合もあります。起訴された場合には、裁判にて有罪か無罪かの判断が下されます。
また、起訴された場合には、保釈請求などの身柄解放活動を行わない限り、起訴後勾留により、身柄拘束が継続することになります。
3、弁護士に依頼するメリット
リフォーム詐欺の容疑で逮捕された場合、なるべく速やかに弁護士を呼びましょう。なぜ弁護士に依頼したほうがよいのか、そのメリットをみていきましょう。
-
(1)不起訴や減軽のためには示談が大事
日本の裁判所や検察は、被害者が加害者に対してどれくらい処罰感情を持っているかを重要視しています。そのため、被害者と示談を成立させ、処罰感情が薄れていることを示すことが、不起訴や減軽につながる場合があるのです。
リフォーム詐欺では、多くの場合、被害者に生じているのは金銭的な損害です。損害を弁償することによって被害者と示談することができれば、不当に重い罪とはならない可能性が高まります。
ところが、逮捕されてから一定の期間は身柄が拘束されますし、警察は被害者の連絡先を基本的には教えてくれないので、示談しようにも被害者と会うこともできません。そこで弁護士に依頼し、自分の代わりに示談してもらうことが重要なのです。 -
(2)身柄の早期解放を目指す
逮捕されても、勾留期間中に「勾留決定に対する準抗告」や、起訴後勾留中に「保釈請求」一時的な身柄解放の手続きを行うなどして、自宅に帰れる方法があります。ずっと身柄が拘束されたままでは不自由ですし、精神的な負担も大きなものとなるでしょう。弁護士に依頼することで、早めに留置場や拘置所から出られるよう、裁判所や検察官に働きかけることができるのです。
4、まとめ
今回はリフォーム詐欺にあたる可能性がある行為や、リフォーム詐欺の容疑で逮捕された際の流れについて説明しました。リフォーム詐欺は住宅などに対する相手の不安につけ込み、金銭をだまし取る悪質な犯罪行為です。知らないうちに詐欺に加担していることもあるため、注意が必要です。
自分がリフォーム詐欺に加担してしまったのではないかと不安な方は、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスまでご相談ください。被害者との示談や早期解放に向けた取り組みなど、さまざまな法的サポートをいたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています