名古屋の弁護士が解説! 家族が逮捕されたらすぐに面会できる?
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もし突然、警察から電話がかかってきて「あなたのご家族を逮捕しました」と伝えられたら、大変驚き、動揺してしまうことでしょう。あわててインターネットで調べても、愛知県警察のホームページでは「面会・差し入れに関しては各警察署の留置施設に問い合わせを」と案内されているだけです。
まずは一目会って、なぜこんな事態になったのか、何かの間違いではないのかを本人の口から聞きたいと思っても、面会する方法がわからないのが通常でしょう。本コラムでは、家族が逮捕された場合に知っておきたい、面会の方法や家族としての対応について名古屋オフィスの弁護士が詳しく解説します。
1、逮捕中は制限!? 面会のルールとは
逮捕された本人は、被疑者と呼ばれる立場となり、身柄の拘束を受け、警察の取り調べを受けています。被疑者と面会がしたいと思ったら、どうすべきなのでしょうか。
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(1)面会が可能になるまで最長3日かかる
逮捕されてすぐのタイミングでは、たとえあなたが警察署へ足を運んだとしても、面会はできないでしょう。逮捕直後は証拠隠滅などを防ぐ観点から、外部との接触は認められていないためです。
あなた自身を含め、恋人・友人・会社の同僚などによる面会が認められるのは、逮捕からおおむね3日が過ぎたタイミングです。正確には、事件と被疑者自身の身柄が検察に送致されたのち「勾留(こうりゅう)」が決定し、留置施設に戻ってから面会が可能になるケースが一般的です。
なお、勾留とは、逮捕後最大72時間が経過したのち、引き続き留置場や拘置所などの留置施設にとどめ置かれることを指します。
被疑者が勾留される場所は、多くの場合は警察の留置場ですが、拘置所の場合もあります。 -
(2)「接見禁止」がつくと面会できない
ただし、勾留の状態になったら誰でも面会ができるというわけではありません。警察や検察、裁判所などでは面会のことを「接見」と呼びますが、中でも「接見禁止」が付されている場合は、たとえ家族でも面会できない可能性があります。
接見禁止とは、家族や友人ですら面会が認められない状態のことです。外部との連絡によって、被害者に圧力をかけて被害届の取り下げを迫るおそれがある場合や、証拠品の処分を依頼する等、証拠隠滅のおそれがある場合に、接見禁止が付される可能性があります。
なお、接見禁止は、「弁護人または弁護人になろうとする者」以外の者に対して出されるため、たとえ接見禁止が付されていても、弁護士はいつでも面会することができます。
また、逮捕中で勾留が決定する前であっても、弁護士であれば面会することが可能です。
2、面会の注意点
勾留が決定し、被疑者との接見が可能となったとしても、いつでも直接話ができるようになるというわけではありません。被疑者にかかっている容疑内容や、各留置施設によって、異なる制限を受けることがあります。
本項では、一般的なルールについて解説します。詳しくはご家族が拘束されている留置施設に問い合わせたほうがよいでしょう。
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(1)面会時間・回数のルール
面会は1回、15分から20分程度、警察官や刑務官の立ち会いのもとで行われます。
面会が可能なのは、各留置施設の平日の面会可能時間に限られますので、注意しましょう。面会可能な時間は各施設によって差があるので、事前に電話で問い合わせすることをおすすめします。
また、面会は1日1回に限定されていることが一般的です。たとえば午前中に被疑者の友人などが面会していた場合、午後に被疑者のご両親が訪ねても面会はできません。
さらに、一度に面会できる人数は3人が上限として設定されていることが多いようです。たとえ親族であっても、大人数で押しかけることや、複数人が別々に面会することはできません。
なお、面会の予約はできません。 -
(2)差し入れのルール
面会時には差し入れを行えます。ただし、制限なく差し入れできるわけではありません。
一般的には、自傷や自殺を防ぐため、ひもやタオルなどの長い布類、カミソリなどの刃物は禁止されています。また、食品やタバコなどの嗜好(しこう)品なども差し入れできないので、注意が必要です。
施設ごとに詳細なルールがありますので、当日の面会有無や面会できる時間と合わせて、事前に問い合わせをしたほうがよいでしょう。
3、知っておきたい逮捕後の流れ
警察に逮捕されると、次のような流れで刑事手続きが進みます。
●警察による取り調べ
逮捕後、最長48時間は警察の取り調べを受けます。この間、弁護士以外は、原則として一切面会することはできません。
●身柄の送致
警察から、検察官に身柄と事件内容が送られます。これを送致といいます。ニュースなどでは送検とも呼ばれている手続きです。
●勾留判断
送致後、検察官から引き続き取り調べを受けます。検察官は、それまでの捜査や取り調べの内容から、起訴・不起訴を24時間以内に判断します。24時間以内に判断がつかない場合、検察は裁判官に、引き続き身柄を拘束するための勾留請求を行います。請求が認められると、引き続き勾留されます。
なお、勾留されずに「在宅事件扱い」になるケースもあります。
在宅事件扱いになった時点で釈放されるので、帰宅していつも通りの生活を送ることが可能となります。ただし、起訴・不起訴が確定するまで長期化する傾向があるため、不安を感じながら生活をすることになるでしょう。
●勾留期間
勾留が決定すると、身柄は留置施設に戻されます。接見禁止が付されていない場合は面会が可能です。勾留期間中は、取り調べなどで留置施設を離れる場合もあります。
●起訴・不起訴の判断
原則10日、延長請求がなされた場合はさらに最大20日にわたって勾留されます。勾留期限が満期を迎えるまでに、検察官は起訴・不起訴を判断します。
●起訴後、勾留が続く場合もある
起訴された場合、立場が「被疑者」から「被告人」に変わりますが、引き続き身柄を拘束される可能性があります。裁判所から保釈が認められれば、保釈金を支払って、身柄拘束を解いてもらい、通常の生活を送りながら裁判に対応することが可能となります。
なお、略式請求による起訴であれば、手続きが終わり次第、釈放されます。ただし、たとえ罰金刑であっても、前科がつくことになります。
●公判開始~判決
刑事裁判によって、判決が下されます。その結果を受け、控訴する場合はさらに裁判が続きます。
4、逮捕後すぐに弁護士を選任するべき理由
家族が逮捕されたら、少しでも早く弁護士を選任することを強くおすすめします。
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(1)弁護士は逮捕直後から面会が可能
憲法34条は、弁護人を選任する権利を保障しており、これを受けた刑事訴訟法も、弁護士に、「接見交通権」を保障しています。つまり、逮捕直後でも自由な面会が可能です。
弁護士の面会に時間や回数の制限はありません。また、たとえ取り調べ中だったとしても、弁護士の面会を優先するよう請求することが可能です。
また、逮捕直後、どのような状態なのかを知りたいときも弁護士であれば、本人への面会するほか、捜査状況を把握することが可能です。
そのほか、差し入れをすることもできます。ただし、禁止品の差し入れはできないので注意が必要です。弁護士を通じた手紙のやり取りなども可能ですが、手紙の内容はすべて留置担当官が確認することになるので、担当官に見られたくない内容であれば、弁護士に伝言してもらうほうがよいでしょう(ただし、内容によっては弁護士が伝言できない可能性があります)。 -
(2)取り調べに対するアドバイスを受けられる
弁護士は、接見を通じて、取り調べに対するアドバイスを行います。逮捕直後は誰でも不安になるものです。一刻も早く帰宅したいという気持ちから、やっていないことをやったと証言してしまうなど、不利な状況に陥ってしまうケースもあり得ます。
弁護士がアドバイスすることで、取り調べに落ち着いて臨めるだけではなく、不当な自白の強要や供述の誘導なども防ぐことができるでしょう。 -
(3)被害者との示談交渉
被害者がいる場合は、示談交渉も必要不可欠です。
示談が成立することで、釈放や不起訴処分、執行猶予判決などを得られる可能性が高まります。なぜなら、示談が成立することで被害者への賠償が行われ、被害者に処罰感情がないと評価されるためです。
ただし、ご家族だけで示談交渉をすすめることは、困難を極めます。そもそも、被害者が知り合いでない場合は、連絡先を加害者やその家族が知ることはできません。また、仮に連絡先を知っていたとしても、加害者家族と被害者家族が直接交渉することで、事態がこじれてしまう可能性もあります。そのため、示談交渉は弁護士に任せることをおすすめします。
弁護士であれば、捜査機関へ働きかけることで、連絡先を入手できる可能性があります。示談交渉においては、被害者の心情を考慮しつつ、示談が成立するよう粘り強く交渉を続けます。
5、まとめ
もしあなたの家族が逮捕されてしまった場合、自由に面会ができるわけではありません。面会には時間や回数の制限があり、面会自体に制限がかかる場合もあり得ます。
家族が逮捕されてしまい、これからどのように対応すればよいのか不安にかられている場合は、早急に弁護士を選任することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスには、刑事事件の対応実績が豊富な弁護士が在籍しています。迅速に接見し、残されたご家族の不安を解消し、事態が好転するよう全力でサポートします。ご家族だけで悩まず、まずはご相談ください。
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