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内縁者に遺産を相続する方法とは? 名古屋オフィスの弁護士が解説

2018年10月04日
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内縁者に遺産を相続する方法とは? 名古屋オフィスの弁護士が解説

2015年に行われた国勢調査では、全国に46万人を超える「非親族の同居世帯」があることがわかっています。晩婚化・未婚化が進みつつある現代、今後はさらにこの人数が増加していくことでしょう。

もちろん、全国の市区町村で第3位の人口を誇る名古屋市でも、「内縁関係」を含む、多くの非親族の同居世帯があるでしょう。婚姻関係などを結んでいなくても、事実上は家族同等の生活を送っていたのであれば、自身の死亡時に財産を相続させたいと考えるものです。

しかし、民法の規定では基本的に、内縁者を含む非親族者に相続権は認められていません。民法上の親族とは認められない関係では、パートナーが死亡したとしても、財産の相続権が発生しませんが、「遺言書」を作成することで、非親族者にもある程度の遺産を相続させることができます。

ここでは、遺言書の基本や作成方法などについて、作成上の注意点を名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言書の種類

遺言書といえば、いわゆる富豪が自筆で作成して保管しておくもの……と、想像される方は多いものです。確かにこの方法で作成されたものも「遺言書」であることに間違いはありません。しかし、民法で定められている手法で作成された「遺言書」以外の方法では、遺言書として有効に機能させることができないことを、あまり知られていないようです。

遺言書の基本として、民法第967条「普通の方式による遺言の種類」では、次の3種の方法が規定されています。

  1. (1)自筆証書遺言

    文字通り、財産を所有している被相続人が自ら自筆で作成する遺言書のことです。

    紙・ペン・印鑑さえあればいつでも作成可能で、思い立ったらすぐにその場で作成できるという利点があります。ただし、民法第968条で定められている内容に沿った遺言書でなければ、無効となります。せっかく時間をかけ、熟考したうえで遺言書を作成したとしても、思い描いたとおりの相続を実現できなくなってしまうことがあるので注意が必要です。

  2. (2)公正証書遺言

    民法第969条で規定された方式に基づき、証人ふたり以上の立ち会いのもと公証人が作成し、公証役場で保管してもらう遺言書を指します。

    公証人役場に予約を入れたうえで、被相続人と未成年・相続人やその配偶者などを除く証人2名が公証人役場に赴き、公証人の聞き取りによって作成されるという、やや面倒な作成方法となります。また、相続される遺産の総額に基づき手数料がかかる点がデメリットといえるでしょう。

    ただし、確実に有効な遺言書が作成できるだけでなく、公文書として公証人役場で保管してもらえるため、遺言書の紛失や改ざんが起こらないという強力なメリットがあります。一般的に作成される遺言書の中でも、もっとも安全かつ確実に、希望通りの相続を実現できる方法です。

  3. (3)秘密証書遺言

    秘密証書遺言は、作成・封印を被相続人が行い、公証人役場で証人2名立ち会いの下、公証人に秘密証書遺言であることを証明してもらう方法です。

    公証人・証人にさえも遺言書の内容を知られたくないが、遺言書があるという証明を残したい場合に有効な方法です。しかし、遺言書の内容についての保証はされず、遺言書そのものを預かってもらえるわけではありません。よって、改ざんや紛失、内容の誤りにより無効となるケースもあり、実務的にはあまり活用されていない方法です。

2、遺言書の効力

正しく作成された「遺言書」には、民法で定められた規定にとらわれることなく、相続を実行させる効力を持ちます。

たとえば、民法第887条の「子及びその代襲者等の相続権」では、子の相続権と、子が孫に先立って他界していた場合等の孫の相続権を、民法第889条の「直系尊属及び兄弟姉妹の相続権」では、子や孫等、民法第887条の規定により相続人となるべき者がいない場合の父母、兄弟姉妹の相続権を規定しており、相続の順番としては、被相続人の配偶者を頂点に、子、孫、父母、兄弟姉妹の順となります。また、民法第900条の「法定相続分」では、同順位の相続人が複数いる場合のそれぞれの相続分を定めています。ところが、被相続人自身が「遺言書」を作成しておくことで、この序列に加わっていない方に相続権を渡すことはもちろん、財産分割の比率を変えることも可能になるのです。

つまり、遺言書を作成しておけば、本来は相続人とならない非親族者や内縁者にも財産を相続することが可能になります。また、生前は諸事情によって認知できなかった子どもを認知するよう指定して、相続人のひとりとすることもできます。

3、遺言書が無効になる場合

遺言書は非常に厳密な手続きによって効力を担保されているため、作成や取り扱いには注意が必要です。不備や手違いによって遺言書の効力が無効となることがあります。

  1. (1)作成方法に間違いがある場合

    遺言書の作成には厳密なルールがあります。必ず、全文と日付・署名を自書しなければいけません。パソコンで自筆証書遺言を作成したり、日付を忘れていたりすれば、作成方法自体が無効となってしまいます。もちろん、音声で保存したデータなども、法律的に有効な「遺言書」として認められません。また、加除訂正には変更の付記と訂正印を加える必要があります。

    また、記載した内容も、法的に認められるものと認められないものがあります。遺言書によって法的に規定できるものは、財産そのものの相続や処分に関する内容と、身分に関すること、それから、該当の遺言を執行してもらう人物などに限られます。一般的に「生前の意向」と分類されるような「葬式は家族葬にしてほしい」「残された妻を大切にしてほしい」などの希望は、遺族が必ず実行しなければならない事項にはならない点に注意が必要です。

  2. (2)取り扱いに間違いがある場合

    被相続人の死後、遺言書の取り扱いで陥りやすい間違いが「検認」です。

    自筆された遺言書(自筆証書遺言)は、あくまでも私文書です。よって、法律上で認められる遺言書として扱ってもらうためには、必ず家庭裁判所による「検認」が必要となります。なお、検認前に開封された遺言書は、改ざんのおそれなどがあることから無効となるため注意が必要です。状況によっては、開封した者が罰金刑を処されることもあります。

    ただし、準備しておいた遺言書が「公正証書遺言」であれば、作成時点ですでに公文書であるため検認は不要です。それでも、証人が不適格だった、そもそも遺産となる金額を間違えていた……などの理由があれば無効となるケースがあります。

4、非親族者に遺産相続させるための準備

もし、内縁者をはじめとした、非親族者に遺産を相続させたいうえで、身内間のもめ事になることを防ぎたいのであれば、入念な準備が必要になります。あらかじめ実施しておきたい準備を知っておきましょう。

  1. (1)財産を調査する

    相続は、預貯金や不動産などのプラスになる財産だけでなく、ローンをはじめとしたマイナスになる財産も含んだ全てが対象となります。これらを全て調査して、自身が死亡したときに一体どれだけの財産が相続の対象となるのかを、しっかりと調査しておく必要があります。

    生前に自身が調査すれば手続きが容易ですが、故人となってから誰かが代理で調査すると回答を得るまでに時間がかかるだけでなく、余計な手続きを求められるケースが多々あります。いくら遺言書を作成しておいても、記載した金額と実際の財産に大きな差がある場合、遺言書が無効となることもあり得ます。あなたが残す財産ですから、できる限りあなた自身の手で、隅々まで調査しておくことが望ましいでしょう。

  2. (2)財産目録を作成しておく

    調査によって判明した相続財産は、財産目録を作成して全て明らかにしておきましょう。
    全財産を根拠にして遺言書の作成を進めなければ、遺言書の記載と実際に相続できる財産の内容に食い違いが出てしまいます。最終的に、手続きがややこしくなり、遺族たちが混乱するもとを作ってしまうことになりかねません。

  3. (3)相続人を調査する

    内縁者など、法定相続人以外の人物に、自らの財産を相続したいと考えるケースでは、必ずほかの法定相続人の存在を漏れなく調査しておく必要があります。特に、前配偶者や、以前に関係を持った相手との間に、自分との子どもがいないかを注意して調査しておきましょう。なお、2013年の法改正より、嫡出子と非嫡出子の相続分は同じとなりました。前妻との間に生まれた子どもや、認知している非嫡出子がいる場合は、遺留分などの配慮をしておく必要があります。

    また、相続は遺言の内容が優先されますが「全財産を内縁者に相続する」などのような内容を残すことは避けたほうがよいでしょう。法定相続人に最低限の相続が認められる「遺留分」の相続が主張できるため、最終的に大きなトラブルに発展することがあります。非親族者に遺産を相続させる場合は、法定相続人の遺留分を考慮した分配方法を記すようにしましょう。

  4. (4)分配の理由を明らかにする

    法的な決まりや効力はありませんが、内縁者に財産を相続させる場合には理由を付記しておくことが望ましいでしょう。

    特別な分配の理由などを付記することを「付言事項」といいます。特別な分配方法になっている理由を被相続人が明らかにしておくことで、法定相続人の納得を得ることが期待できます。

5、遺言書の作成を弁護士に依頼するメリット

遺言書は自身が作成することが可能な書類であり、行政書士や司法書士にも作成を依頼することができます。ただし、内縁者など、法定相続人以外の人物に財産を相続させたいなどのケースに限っては、できる限り弁護士に作成を依頼することをおすすめします。

弁護士であれば、相続財産や相続人など、相続に必要な情報を調査し、収集してまとめることが可能です。さらには、相続放棄の依頼交渉なども、弁護士であれば対応することができます。つまり、弁護士に遺言書の作成を依頼すれば、あらゆる調査を尽くしたうえで、のちのトラブルを防ぐ遺言書を作成することができるということです。これらの調査や交渉は、行政書士や司法書士では行うことはできません。また、公正証書遺言を作成する際にも、草案の作成、証人としての立ち会いなどのサポートを行います。

遺言書と遺産分配の分離、法定相続人の遺留分などを考慮すれば、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は、法で定められた文書を作成するだけでなく、遺産相続という法定手続きや、遺族との交渉手法にも精通しています。遺言書の作成だけでなく遺産相続そのものを総合的にサポートすることができるのです。

6、まとめ

今回は、内縁者など非親族の者に財産を相続させるための方法を柱にして、遺言書の種類や効力、遺言書作成上の注意点などを解説しました。

遺産相続は、残された遺族にとって生活の基盤となることが多く、権利の主張による争いが発生しやすい問題です。特に、内縁者などへの相続は、他の法定相続人からの非難を受けやすく、トラブルに発展することが多々あります。

非親族者に確実に財産を相続してもらうことを大前提とし、その他発生しがちなトラブルを回避するには、弁護士のアドバイスが欠かせないものなるでしょう。内縁者など非親族者への相続をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスまでお気軽にご相談ください。遺産相続の知識が豊富で、遺言書の作成・取り扱いに精通した弁護士が強力にサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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