残業代請求を相談したい! 弁護士と労働基準監督署の違いとは?

2018年08月28日
  • 残業代請求
  • 残業代請求
  • 労働基準監督署
残業代請求を相談したい! 弁護士と労働基準監督署の違いとは?

名古屋には、みそかつや手羽先をはじめ名物が多く、その分飲食店の数も非常に多くなっています。日本有数の大都市ということもあり訪れる人も多く、特に都心部は飲食店で日々賑わっています。

しかし飲食店によっては、オープン前の仕込みや閉店後の後片付けなどの時間に対しては残業代を支払わずに、うやむやにしている企業が少なくないというのもまた事実です。そのような状況に置かれている名古屋の飲食店従業員は、残業代の請求を一体どこに相談すればよいのでしょうか。

そこで今回は、残業代請求を労働基準監督署と弁護士に相談した場合の対応の違いやそれぞれの特徴などを解説していきます。

1、労働基準監督署とはどんな場所?

  1. (1)労働基準監督署とは

    労働基準監督署とは、企業が労働基準法や最低賃金法などの労働関連の法律を守り、適切な雇用や会社の運営をしているかどうかを監督する機関です
    労働基準監督署は「労基署」と略して呼ばれることも多く、こちらの呼び方のほうが聞いたことがある人が多いかもしれません。

    労働基準監督署は全国にあり、それぞれ管轄内の企業を監督しています。無料で相談に乗ってくれるため、労働に関わる様々なことを相談してしまいがちですが、労働に関することであれば何でも解決してくれるというわけではありません
    労働基準監督署は、労働基準法に明記されていること以外には口出しはしません。労働基準監督署は厚生労働省の出先機関であるため、国の組織に当たります。国は「民事不介入」ですので、労働基準法に明記されていること以外は行政としての立場から助言することもできず、対応できる範囲はそれほど広くはありません。
    相談すること自体はできますが、相談内容によっては解決に至らないこともありますので注意が必要です

  2. (2)愛知県内の労働基準監督署一覧

    • 名古屋北労働基準監督署
    • 管轄地域:東区、北区、中区、守山区、春日井市、小牧市

    • 名古屋東労働基準監督署
    • 管轄地域:千種区、昭和区、瑞穂区、熱田区、緑区、名東区、天白区、豊明市、日進市、愛智郡東郷町

    • 名古屋南労働基準監督署
    • 管轄地域:中川区、港区、南区

    • 豊橋労働基準監督署
    • 管轄地域:豊橋市、豊川市、蒲郡郡、新城市、田原市、北設楽郡

    • 名古屋西労働基準監督署
    • 管轄地域:中村区、西区、清須市、北名古屋市、西春日井郡

    • 岡崎労働基準監督署
    • 管轄地域:岡崎市、額田郡

    • 一宮労働基準監督署
    • 管轄地域:一宮市、稲沢市

    • 半田労働基準監督署
    • 管轄地域:半田市、常滑市、東海市、知多市、大府市、知多郡

    • 刈谷労働基準監督署
    • 管轄地域:刈谷市、碧南市、安城市、知立市、高浜市

    • 豊田労働基準監督署
    • 管轄地域:豊田市、みよし市

    • 瀬戸労働基準監督署
    • 管轄地域:瀬戸市、尾張旭市、長久手市

    • 津島労働基準監督署
    • 管轄地域:津島市、愛西市、弥富市、あま市、海部郡

    • 江南労働基準監督署
    • 管轄地域:江南市、犬山市、岩倉市、丹羽郡

    • 西尾労働基準監督署
    • 管轄地域:西尾市

2、労働基準監督署と弁護士、それぞれの未払い残業代への対応は?

  1. (1)労働基準監督署の対応

    残業代の請求に関して労働基準監督署に相談をする前に、まずは自身で会社に掛け合ってみるなどの手順を踏んでおく必要があります

    労働基準監督署の仕事は、労働基準法に違反している会社を正すことであり、社員一人ひとりの問題を解決することではありません。相談者が会社に掛け合っても残業代が支払われないという事実があって初めて「労働基準法の疑い」ということで動き始めるのです。

    しかし、自分で動く前に労働基準監督署に行っても何も協力してくれないということではなく、置かれている状況の違法性や内容証明の書き方なども丁寧に教えてくれます。
    それをもとに自分で調査を進めてみたり、請求に向けて動いていくことで、労働基準監督署が動いてくれるようになる可能性も高まります。

    また、労働基準監督署が調査に動いたとしても、必ず残業代を回収できるとは限りません
    前述しているように、労働基準監督署は違反を正すように促すことはできても、それを強制する力はありません
    このように、労働基準監督署が動いても改善しない場合もありますが、労働基準監督署が残業代を回収することができれば、回収した額が全額手元に残ります。

  2. (2)弁護士の対応

    弁護士に依頼した場合は、弁護士がご依頼者様に代わって書類の準備や交渉など、残業代請求において全面的にサポートが可能となっています
    証拠の集め方などのアドバイスもできますし、もし転職されるのであれば、その間に転職活動も集中して行えるため、スムーズに残業代請求を行うことが可能です。

    また、ご自身で直接交渉をしても聞く耳を持ってもらえないケースも多くありますが、弁護士名義で勧告をすると、相手に対して弁護士という存在を認知させることができますので、会社側の対応もガラッと変わる可能性があります
    万が一、弁護士の介入でも会社が動じない場合は裁判へ発展していきますが、弁護士は法律の専門家ですので安心してください

3、残業代の請求は労働基準監督署と弁護士どちらがおすすめ?

労働基準監督署は、あくまで会社の労働基準法の違反を正すのが仕事のため、明確な証拠がないと動いてくれない可能性があります。ただ、費用は発生しないので、相談先のひとつとして利用するのも良いかと思います。

弁護士は、ご相談者様個人のために動くことが仕事です。会社の違法を正すのではなく、相談に来た労働者の残業代を回収するのがゴールとなります
弁護士への依頼は、費用面や、会社を辞める覚悟で依頼する必要があるなどの考慮すべき点もありますが、残業代をなるべく確実に受け取りたいと考えた場合は、弁護士への相談をおすすめいたします。

4、まとめ

名古屋は、飲食店に限らずヘアサロンをはじめとしたその他サービス業も発展しています。そのため、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスにも、サービス業で働いている方から残業代請求に関するご相談を多く受け付けております。

残業代は労働者に対して正当な対価として支払われるべきものであり、上司や社長に言いにくいからといって諦めるべきではありません
会社に対して残業代を請求することは勇気のいることだと思いますが、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスへまずはご相談ください。全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています