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サービス業が残業代請求する方法は?証拠の集め方や請求の手順を解説

2018年05月23日
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サービス業が残業代請求する方法は?証拠の集め方や請求の手順を解説

百貨店や飲食店、ホテルなどの接客・サービス業の業界では、定時を過ぎた後も残業代を支給せずに従業員に仕事をさせ続けるケースが増えています。

総務省の統計によれば、愛知県は百貨店・スーパーの数が全国1位となっているため、その分、残業代が支給されないサービス残業をさせられて悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、接客業を中心としたサービス業に従事する人たちが残業代を請求する方法について考えてみたいと思います。

1、そもそもサービス残業とは?

  1. (1)サービス残業とは

    サービス残業とは、労働者が所定労働時間以上に働いたときに本来支給されるべき残業代を会社から支給されずに働かされる状態のことを指します。

    労働基準法では、労働時間が「1日8時間以内・週40時間以内」と定められています。
    これを法定労働時間といいます。

    使用者(雇い主のことです)は、この範囲内であれば労働時間を自由に定めることができます。使用者が定めた労働時間を所定労働時間といいます。

    使用者が所定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、時間外手当として残業代を支払わなければなりません。
    また実労働時間が法定労働時間を超える場合や法定休日に働いた場合には、会社は従業員に割増賃金を支払うことが法律で義務付けられているのです。

    近年では、特にサービス業界の過重労働による過労死・過労自殺がメディアで取り上げられるようになっており、それに伴い労働基準監督署も是正勧告を出すなど、企業への監視体制を強化させています。

    しかし、サービス業界を中心にサービス残業が横行している会社はまだまだ多いのが現状です。

  2. (2)サービス残業が横行する理由

    では、労働基準監督署による規制が強化されているのに、サービス業界を中心にサービス残業がなくならないのはなぜでしょうか。

    その理由のひとつとして、会社の経営者や管理職が人件費、特に残業代を削減したいと考えていることがあげられます。会社が業績不振になったときに、一番に検討するのはコスト削減です。
    忙しくても人員を増やすことができないので、既存の社員だけで仕事を回していかなければなりませんが、その結果残業をせざるを得ない状態になってもコストをカットしようとして残業代を出さないのです。

    また、サービス業の会社の経営者や管理職が労働基準法に関する知識が乏しいこともサービス残業が横行する理由のひとつです。
    「実際に部下の管理権限はなくても、社員に肩書をつけて管理職にすれば、残業代を支払わずに済む」と労働基準法を都合のいいように解釈し、社員にサービス残業を強いるケースもあります。

    さらに、労働者側が残業代を請求することをあきらめてしまっていることもサービス残業がなくならない理由のひとつです。
    サービス残業が常態化している会社では、残業代が出ないことが当たり前になりすぎてしまい、社員側も「サービス業では残業代が出ないものなのだ」と考え、残業代をもらわないまま長時間労働を強いられているケースは非常に多いといえるでしょう。

2、サービス残業にあたるケースとは?

では、具体的にどのようなケースがサービス残業になりうるのでしょうか。
サービス業界でよくありがちなケースを考えてみましょう。

  1. (1)準備・後片付け

    デパートやお店などのサービス業の業界では、シフト制を導入している会社が多く見受けられますが、従業員がシフト入りする時間の前後には、当然開店準備や後片付けの業務が発生します。

    この準備や後片付けの時間が勤務時間にあたらないと考える人も多いのですが、これらの時間も事実上お店に拘束されることから、法律上は勤務時間とみなされます。
    そのため、サービス業界で勤務時間外に準備や後片付けを命じるのは本来サービス残業にあたり違法なのです。
    また、休み時間中に電話番をするのも時間外労働にあたりますので覚えておきましょう。

  2. (2)着替えの時間

    サービス業界では、お店ごとに指定の制服があることがほとんどで、勤務時間前に着替えを済ませてから業務を開始することになります。

    一般的に勤務時間よりも少し早めに勤務先に来て、勤務時間の開始前に着替えを済ませることが当たり前になっていますが、制服などへの着替えがお店によって義務付けられている場合には、着替えの時間も法律上は拘束時間とみなされる可能性が高いです。
    そのため、勤務時間外に着替えを行っていれば、その時間に対しても残業代が発生するのです。

  3. (3)名ばかり管理職

    労働基準法上の「管理監督者」には、労働時間や休日に関する労働基準法が適用されません(労働基準法第41条)。

    そのため、サービス業界の中でも、特にアパレル関係やファーストフード関係のお店では、アルバイトでも「店長」の肩書を与えて管理者にあたることにして、残業代を支給せず店員に長時間労働を強いるブラック企業が多くあります。

    以前、有名ファーストフード店の店長をしている男性が、実際には管理監督権限を持たないのにも関わらず「店長」とされているために休憩する暇もなく長時間労働を強いられていた事案がありました。 裁判所はこれを違法として、本社に対して未払いの残業代などの支払いを命じる判決を下したのはまだ記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

3、 残業代請求の証拠となるものは?

サービス業に限らず、未払い残業代を会社に請求しようとする際には、時間外労働をしていたことを示す客観的な証拠が必要です。
証拠があれば、万一労働審判や裁判などの法的手段に移行したとしても、自分側に有利になるように審判や裁判を進めることが可能です。

  1. (1)タイムカード(業務日報・業務日誌)

    タイムカードは出勤時間と退勤時間を記録できるものであり、非常に強力な証拠となります。タイムカードの原本やコピーが手元にない場合は、会社側に請求しましょう。
    もし請求しても会社側が出してこない場合は、弁護士に依頼をすれば弁護士から会社側に請求してもらえます。

    また、タイムカードではなく専用のカードをかざして入退室を記録することで出勤・退勤を記録するシステムを取っている会社では、入退室記録もタイムカードと同様に有力な証拠となります。

    タイムカード等がない会社でも、「業務日報」「業務日誌」を作成させている場合があります。業務日誌などに労働時間が記載されており、上司の承認印があれば、サービス残業の証拠になります。

  2. (2)会社で使用しているメール

    タイムカードなどの出勤時間・退勤時間の記録が入手できない場合や定時にタイムカードを押させた後に残業させられる場合は、取引先や自社の社員に送ったメールも、会社にいた時間を示すものとして有力な証拠になります。
    出勤・退勤時間の前後にやり取りをしたメールは誤って消去してしまわないよう、バックアップやコピーを取っておくなどして保存しておきましょう。

  3. (3)同僚や出入りする業者の証言

    また、同じお店で働いている同僚や取引先の業者の証言も、有力な証拠のひとつです。
    「××さんは、いつも〇時まで残って仕事をしている」
    「〇時に納品しにいくと、いつも××さんが受け取ってくれる」
    などの証言が得られれば、おおよその勤務時間がわかるため、証拠として採用されやすいのです。

  4. (4)日記など自分で記録したもの

    日記など、労働者自身が日々の労働時間を記録したものも、証拠にはなります。
    ただし、タイムカードのような客観性がないため、証拠としての価値はそれほど大きくありません。
    少しでも証拠としての価値を高めるには、単に労働時間だけを記録するのではなく、労働の具体的内容などを詳細に記録しておく必要があります。

4、会社に残業代を請求する手順・方法

これもサービス業に限った話ではありませんが、実際に会社に残業代を請求する方法は、以下の5つの方法があります。
それぞれどのような手順を踏むのかについてみていきましょう。

  1. (1)会社と直接交渉する

    まずは会社に対して文書で直接交渉を申し入れるのが一般的です。
    会社のコンプライアンス意識が高く、会社が交渉に応じてくれるのならば、費用もほとんどかからず迅速な解決が期待できます。

    交渉に応じてもらえない場合は、弁護士に依頼して弁護士の名前で内容証明郵便を送ってもらいましょう。
    そうすれば、会社も「弁護士が出てきたら無視はできない」と考え、交渉に応じてもらいやすくなります。

  2. (2)労働基準監督署を通して請求する

    次に、労働基準監督署に働きかけてもらう方法があります。
    タイムカードのコピーや給与明細などの証拠資料を持って労働基準監督署に相談に行けば、未払いの残業代を算出し、会社に対して是正勧告や指導をしてもらえます。

    費用がかからずに対応してもらえる点はメリットではありますが、証拠資料がなければ労働基準監督署側は労働基準法違反の認定ができず、勧告も指導もできない可能性がある点がデメリットです。

  3. (3)労働調停を申立てる

    会社に交渉に応じてもらえなかったり、交渉をしても協議が整わなかったりする場合は、裁判所を介する法的手段を用いて問題の解決を図ることになります。

    法的手段の一つとして、裁判所に労働調停を申し立てることが考えられます。
    労働調停とは民事調停のひとつで、裁判所が選任した調停委員の仲裁のもとで会社と話し合いをするものです。調停が成立した場合は、裁判所のほうで調停調書を作成してもらえます。調停調書があれば、会社が調停で合意した内容を履行しない場合に強制執行をすることが可能です。
    あくまで話し合いですから、合意ができない場合には調停不成立として手続が打ち切られます。

  4. (4)労働審判を申立てる

    次に労働審判を申し立てるという方法があります。
    労働審判とは裁判官である労働審判官1名と労働関係に関する知識や経験が豊富な労働審判員2名で構成される労働審判委員会が審理を行うものです。

    原則として3回以内の期日で終結するため、裁判よりも迅速に解決を図ることができます。調停のように話し合いによる当事者同士の合意を目指しますが、調停がうまくいかなければ労働審判委員会が労働審判を下し、解決案を示すことになります。

    異議の申立てが為された場合には、通常訴訟に移行します。 いきなり訴訟をするよりも審理が早く進む可能性が高いですが、結局のところ合意しないと審判のみでの決着はできないというところが、労働審判のデメリットのひとつです。

  5. (5)訴訟を提起する

    会社の態度が強硬で話し合いに応じる見込みがないような場合には、最初から通常訴訟を提起するという選択肢もあります。また、労働審判に対して適法な異議申立てがあった場合も、訴訟に移行します。
    訴訟では、従業員側が主張する残業時間が正しいかどうかを裁判官がタイムカードなどの証拠資料をもとに判断し、会社側に残業代を支払わせるのが妥当かどうかについて判決を下します。
    訴訟は専門的な知識が必要になるため、法律の専門家である弁護士に依頼するのがベストでしょう。

5、残業代請求には時効があるので要注意!

未払い残業代は、いつでも請求できるわけではありません。
「今は仕事が忙しいから、手が空いたときに請求すればよいだろう」と考えていると、請求できる残業代の金額がどんどん減ってしまう可能性があるのです。

  1. (1)残業代の時効はたった2年

    未払い残業代を請求できるのは、請求した日からさかのぼって2年分のみとなっています。つまり、過去何年にもわたって長時間に及ぶサービス残業をさせられていたとしても、直近の2年分しか請求できないのです。
    請求するのがほんの少し遅れただけで、何万円、何十万円と損をする可能性もあります。そのため、未払い残業代が発生していることに気づいた時点でできるだけ迅速に請求することが必要です。

    請求する意志を明確に残せば、時効は一時的に中断できます。そのための方法は一般的には内容証明郵便により相手方に未払い残業代の請求意志を明示することです。
    ただし、あくまで一時的な中断なので、適切に動く必要があります。
    意志の明示の方法や、その後の請求も適切な形で行う必要がありますので、弁護士に相談することをお勧めします。

  2. (2)2020年には残業代の時効が2年から5年に?

    2017年に成立し、その後3年以内に施行される予定の民法改正によって、債権の消滅時効が5年に統一されることになりました。
    それに伴い、厚生労働省の有識者検討会でも、「未払賃金の請求期間を2年」としている労働基準法の規定の見直しについて議論が本格化しているのです。

    そのため、早ければ2020年4月から未払い残業代を請求できる時効が5年になるかもしれません。今後の動向が注目されます。

6、残業代のことは法律の専門家である弁護士に相談を

「サービス業界で働いていて、未払い残業代を請求したいけれど、タイムカードなどの記録が手元にない」など、残業代請求に関して不安な点があれば、法律の専門家である弁護士に質問してみることをおすすめします。
別の会社に転職した場合でも、前の勤務先で退職前に発生していた残業代を請求することも可能です。弁護士に相談すれば、依頼人の状況をヒアリングしたうえで、最適な解決方法を提示してくれるでしょう。

サービス業界では、近年慢性的に人手不足が続いており、従業員がサービス残業を強いられるなどの劣悪な労働環境におかれているケースがあとを絶ちません。
残業代を請求することはとても勇気がいることかもしれません。
そのような時こそ、弁護士にお任せください。

ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスでは、多数の残業代請求の解決実績があります。
残業代請求のご相談は何度でも無料です。
おひとりで悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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