裁判になっても残業代を取り戻したい!残業代の未払い分を裁判で解決する手順
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残業代は、未払いになってしまうことが非常に多く、毎日サービス残業をしているという方も多いものです。しかし、残業代を請求しても「残業代を支払う余裕がない」「みなし残業なのだから残業代は出ない」などと言われたりするケースもあります。
ですが、これは会社側の勝手な言い分です。残業代の未払いは違法行為であり、労働者は残業代を請求して払ってもらう権利があります。話合いによって残業代の支払いを受けられない場合には、裁判によって残業代を支払わせることもできます。
今回は、残業代を裁判で請求する手順について、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が詳しく解説します。
1、残業代請求裁判とは
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(1)残業代請求裁判は、労働者が残業代を請求するための手続き
残業代が支払われない場合、通常は、勤務先の会社に直接請求をしますが、労働者が残業代請求をしても、無視する会社もあります。話合いをしても合意に至らないことがあるでしょう。
そのようなとき、裁判を起こして残業代を請求することができます。
それが、残業代請求裁判です。
残業代請求裁判は、労働訴訟の1種です。
残業代は給料の1種ですから、不払いになっていたら賃金未払いになっていることを主張し、社員(従業員)は当然、雇用者に支払い請求することができるのです。
残業代請求裁判をすると、裁判所が会社や事業主に対し、残業代の支払い命令の判決を出してくれます。会社は判決に従って、残業代を支払うべき義務を負います。
もし、判決に従った支払をしない場合には、労働者は、会社の財産に対して強制執行(差押え)をすることができます。
事業主が給料不払いをすることは、法律でも固く禁じられており、労働基準法違反となります。
労働基準法では、
・法定労働時間を守らなかった場合(第32条)
・法定休日を与えなかった場合(第35条)
・割増賃金を支払わなかった場合(第37条)
などにおいて、事業主に対し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑となると定めています(労働基準法119条1項)。 -
(2)残業代請求裁判が必要になるタイミング
残業代請求裁判が必要になるのは、主に以下のような場合です。
・会社に残業代請求をしたけれど無視された
・会社と残業代について交渉をしたが、合意できなかった
・労働基準監督署で和解あっせんを受けたが、解決できなかった
・労働審判をしたが、解決できなかった
このように交渉や労働審判等でも決着がつかなかった場合、残業代請求の裁判(訴訟)へと移ります。
いきなり裁判沙汰にしてしまうと大ごとになってしまいますし、裁判となると非常に手間も時間も費用もかかりますので、現実的ではありません。
まずは、本人または弁護士が代理人として会社側へ残業代を支払うよう交渉を重ねます。
交渉で解決しない場合には、次に労働基準監督署からの和解あっせんや、労働審判で解決を試みます。
それでも合意に至らない場合は、最終手段である「裁判(訴訟)」という形で会社側と争うことになります。 -
(3)労働審判と残業代請求裁判の違い
残業代が未払いになっている場合には、労働審判を利用することも多いですが、労働審判と残業代請求の裁判(訴訟)は何が違うのでしょうか?
◆労働審判
労働審判は、原則3回の期日で終了します。
その間、労働審判員による調停が行われて、なるべく話合いによって解決しようとします。最終的には裁判所が審判をしますが、当事者はその内容に拘束されず、異議を出して通常訴訟によって解決することができます。
原則3回で終了のため、3ヶ月以内で決着がつくケースが約8割程度です。
短い期間で解決が図れ、負担も少なく済むのが特徴です。
◆残業代請求の裁判(訴訟)
残業代請求訴訟は、その通常訴訟ですから、やり直しをすることはできません。判決が出たら、控訴することはできても、裁判所による決定そのものの効果を失わせることはできません。
また、訴訟の場合、労働審判とは異なりかなり長い時間がかかります。
短くても半年はかかることが多いでしょう。場合によっては数年にわたって争うケースもあります。
労働者側が訴訟によって勝訴をしたら、会社側が頑として残業代の支払いに応じない場合でも、強制執行によって未払残業代を回収することが可能です。
2、残業代請求裁判の準備
残業代請求裁判(訴訟)をするときには、事前の準備が重要です。 法的根拠を立証しながら争う必要があるため、必ず弁護士をつけて準備をしましょう。
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(1)残業代を計算する
まずは、残業代の計算をしなければなりません。
残業代には、法内残業と法外残業(時間外労働)があります。時間外労働の場合には、割増賃金を請求することができます。
そこで、まずは、計算の基礎となる収入の資料をもとに基礎収入を計算し、残業した時間を計算して、割増賃金率をかけ算しなければなりません。
残業代を正確に計算できていないと、裁判を起こしてもスムーズに進めることができないので、きちんと計算しましょう。 -
(2)証拠を集める
裁判に勝つためには、「間違いなく残業を行っていた」と証明できる証拠が何より重要です。
残業代請求訴訟の証拠となるのは、以下のようなものです。
・給与明細書
・源泉徴収票
・タイムカード
・出退勤記録
・業務日誌、日報
・社員IDカードの記録
・交通ICカードの記録
・上司とのメールや指示書
・私的に残した勤務状態の日記等(手書きが望ましい)
こうした証拠をきちんと揃えていないと、裁判をしても残業代支払が認められなかったり大きく減額されたりするので、しっかりと揃えましょう。
私的な日記等で勤務記録を残す場合、できるだけ手書きが良いでしょう。
最近ではスマホアプリなどで残業時間を記録できるものもありますが、デジタルデータは後から改ざんすることができ、証拠として認められないケースもありますので、ボールペンで手書きするなど、後から改ざんができない形で残すと証拠として認められやすくなります。
もしも「これは証拠になるの?」と迷ったら、弁護士に相談すれば証拠になり得るのか判断をします。まずは証拠になりそうな資料を集めるところから始めると良いでしょう。
3、裁判の申立方法
残業代請求の裁判(訴訟)を起こすときには、以下の手順で進めましょう。
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(1)訴状を作成する
まずは「訴状」を作成する必要があります。
訴状は、裁判をするときのもっとも基本となる書類です。
相手に求める結論部分となる「請求の趣旨」と、相手に請求する法的な理由である「請求の原因」を書き込みます。
残業代請求訴訟では、特に、求める残業代の金額と、計算根拠を明らかにする必要があります。訴状の記載に不備があると、裁判そのものを受け付けてもらえないので、法律的な要件に従ってきっちり作成しましょう。
弁護士に依頼すれば、訴状の作成は全て任せておけるため安心です。 -
(2)訴状と証拠をまとめる
裁判を起こすときには、証拠を一緒に提出すべきです。
そこで、集めた証拠を提出できるように整えましょう。 -
(3)印紙や切手を購入する
裁判をするときには、訴状と証拠のほかに、印紙と郵便切手を裁判所に提出する必要があります。収入印紙の額は、請求額によって異なり、請求金額が高くなるほど印紙代も高額になります。
たとえば、
請求金額が50万円なら印紙代は5000円
請求金額が100万円なら印紙代は1万円
請求金額が160万円なら印紙代は13000円
請求金額が200万円なら印紙代は15000円
となります。
また、訴訟をするときには、だいたい6000~7000円程度の郵便切手代がかかります。
こうした印紙や切手も購入しておきましょう。
さらに、会社を被告にするので、商業登記簿謄本(全部事項証明書)を法務局で取得しておく必要があります。
4、残業代請求裁判の流れ
以下では、裁判の流れを紹介していきます。
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(1)提訴
まずは、提訴をします。
このときの裁判所は、基本的には会社の営業所がある場所の裁判所です。
請求額が140万円以下なら簡易裁判所となりますし、140万円を超える場合には地方裁判所となります。 -
(2)企業側への訴状送達
労働者側が提訴をすると、裁判所が、訴状と提出された証拠等の書類を企業側へと送ります。このとき、「第一回口頭弁論期日への呼出状」と、「答弁書催告状」という書類が同封されています。
これを受けとったとき、企業は、裁判所からの呼出状を受けると弁護士に対応を依頼することが多いです。そして、訴状に対する反論を「答弁書」という書類にまとめて記載し、裁判所に提出します。
たとえば、「原告は営業職の外回り社員で事業場外のみなし労働時間を採用している」とか、「管理職(管理監督者)だから残業代が発生しない」などと言われることがあります。
このとき、企業側からさまざまな証拠が提出される可能性もあります。 -
(3)労働者側への答弁書の送達
第一回期日前に企業側から答弁書や証拠が提出されたら、それらの書類が原告側に送られてきます。それを見ると、相手がどのようなことを言っているのかがわかるので、第1回期日前に、しっかりと内容を精査しておきましょう。
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(4)第1回口頭弁論期日
提訴から1ヶ月くらい後に、第1回口頭弁論期日が開かれます。
第1回口頭弁論期日では、原告と被告が提出した書面と証拠をそれぞれ確認します。
そして、次回までになすべき予定を決めて、次回の期日の日にちを決定します。 -
(5)第2回以降の期日
第2回目以降の裁判は、弁論準備期日という手続きになることが多いです。
弁論準備期日では、労働者側と企業側のそれぞれの主張と立証を繰り返して、争点を整理していきます。争点が整理されるまで、だいたい毎月1回程度、期日が開かれます。 -
(6)証人尋問、当事者尋問
争点が整理されると、裁判所で証人尋問や当事者に対する尋問が行われます。
証人としては、たとえば会社の上司や同僚、経営者などが考えられます。当事者は労働者本人です。
尋問では、自分が依頼している弁護士から主尋問を受け、その後相手の弁護士から反対尋問を受け、最終的に裁判所から質問をされる、という流れになります。
事前に、弁護士としっかり打ち合わせをしておくことが重要です。 -
(7)弁論終結
尋問が終わると、弁論が終結します。
終結前に、原告と被告からそれぞれ最終意見を提出することもあります。 -
(8)判決
弁論が終結すると、その1ヶ月くらい後に裁判所で判決が言い渡されます。
弁護士に訴訟を依頼している場合には、その日に判決を聞きに行かなくても、弁護士が取り寄せて連絡をします。
判決書には、「被告は、原告に対し、金〇〇円及び遅延損害金を支払え」などの結論だけではなく、理由も詳細に書かれているので、内容をしっかりと読み解く必要があります。 -
(9)控訴
判決内容に不服がある場合には、当事者は判決を受けとってから2週間以内に控訴することができます。
控訴すると、高等裁判所(1審が簡易裁判所の場合には地方裁判所)で審理が続行されることとなります。控訴審でも判決が出たら、当事者は上告するかどうかを決定し、上告がなければ判決が確定します。 -
(10)強制執行
判決が出ても企業側が支払をしない場合には、企業の資産を差し押さえることにより、未払賃金を回収することができます。
5、残業代請求で裁判をお考えの場合は弁護士へ
残業代請求で裁判(訴訟)有利に進めるためには、弁護士に対応を依頼することが必要不可欠です。
訴訟は法的根拠に則って会社側と争わなければなりません。
有利に進めるには、相手の主張に対し法的な根拠をもとに効果的な反論をすることが重要です。過去の労働裁判の判例などを参照して、争点に対する判断基準など必要事項を把握する必要もありますし、労働者側が勝訴した事例だけではなく、企業側勝訴判例も調べる必要もあります。
大変専門的な手続きなので、法的な知識のない一般の方が1人で対応するのは極めて困難であり、弁護士に依頼しないと対応は難しいでしょう。
弁護士費用として、着手金や報酬金がかかりますが、それを払ってでも依頼すべきです。
ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスは、積極的に労働問題に取り組んでおり、これまで多数の実績があります。裁判となると、長期にわたって会社側と争うこともありますが、長期的な戦略も含めて弁護士がご提案しますので、ご安心ください。
企業側に対し、的確な反論ポイントを押さえて効果的に訴訟を進め、確実に未払残業代を獲得できるよう、尽力いたします。
残業代請求のご相談は無料で承っております。
「絶対に残業代を取り戻したい!」とお考えの場合には、ぜひとも一度、ご相談ください。
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