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ネットで見かけた文章を引用したらNG? 著作権のルールを弁護士が解説

2020年01月21日
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ネットで見かけた文章を引用したらNG? 著作権のルールを弁護士が解説

平成31年3月、慶応大学は、平成29年に認定した学生の博士学位を取り消したとホームページ上で発表しました。取り消しの理由として、博士学位を取得するための論文に、引用の範囲を超えた転載が含まれていたためとしています。

論文だけでなく、インターネット上の記事やコンテンツについて著作権があるにもかかわらず、そのまま使用して問題になるケースは少なくありません。ただし著作権には、引用というルールがあり、一定のルールを守ることで、他人が書いた文章を自分の文章に掲載することが可能になっています。

これから自社のホームページを製作したい、という場合にも著作権に注意すべき点は数多くあります。今回はその中でも、著作権と引用のルールを中心に、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、WEBサイトに画像や写真を利用したい場合

インターネットが普及するに伴い、誰もがスマートフォンやパソコンを用いて簡単にあらゆる情報を検索することができるようになりました。レストランや小売業など、一般消費者を対象とした事業を行っている場合は、ホームページやSNSなどを活用しなければ集客が難しいケースがほとんどです。

では、自社のホームページを作ろうとしたとき、目を引くためにインターネット上に掲載されている見栄えが良い写真などを勝手に自社サイトなどに使うことは問題ないのでしょうか。

  1. (1)写真や画像、文章には著作権がある

    近年は、画像のイメージが消費者に与える印象が非常に重要視されています。たとえば、イタリアの風景写真を探していたところ、あるSNS上で、まさにイメージ通りの写真を見つけたとしましょう。インターネット上にある画像は、多くの場合において簡単にダウンロードすることができます。

    しかし、他人がインターネット上にアップロードした画像や文章、動画などを、無断で自社のホームページで使用すると罪に問われる可能性があります。なぜならば、写真や画像には全て著作権があるためです。ダウンロードできたからといってあなたの物になったわけではありません。

    著作権の発生には何ら手続きは不要で、作品が作られた時点で作者に対して自動的に発生するものとされています。したがって、たとえプロでなく一般の方が撮影した写真であっても、幼児が描いた図画や文章であっても、無断で自社サイトなどに掲載することは、著作権の侵害となってしまうのです。

  2. (2)フリー素材であっても、利用規約に注意

    他方、いわゆるインターネットサービスとして、写真や画像をフリー素材として提供しているサイトがあります。これらの素材は、自社のホームページで利用することができる可能性が高いでしょう。

    ただし、フリー素材サイトの写真・画像を使用する場合も、注意すべき点が2つあります。ひとつは商用利用が可能かどうか、もうひとつは二次使用ができるかどうかという点です。

    たとえば、ある風景写真を、ホームページの背景として改変なく画像全体を使用する場合は一次使用にあたるでしょう。フリー素材として商用使用が認められている場合は、問題なく利用することができるはずです。

    他方、二次使用とは、そのままではなく改変して使用することです。二次使用が禁止されている場合は、ロゴの背景として一部を加工して利用したり、変形させて掲載したりする行為は、著作権侵害に該当する可能性が高いといえます。なお、二次使用には、グッズやノベルティなどの商品化することも含みます。フリー素材を用いてノートを作成し配布したり、写真集を作成したりして販売することは避けたほうがよいでしょう。

    このように、フリー素材といっても全面的に著作権を放棄していないケースがほとんどです。利用する前に、必ず利用規約を熟読し、サービスの提供者が認める範囲で使用しなければなりません。たとえば、商用利用が可能でも、アダルトサイトやお客さまの声などで使用することはNGとする素材サイトは少なくありません。

    フリー素材サイトの素材を利用する際も、利用規約を熟読してから利用する必要があります。利用規約には、規約違反に対する罰金も記載されているケースがほとんどです。利用した以上、あとから「知らなかった」ということはできないため、十分気を付けましょう。

  3. (3)著作権保護の対象とならないものもある

    インターネット上に掲載されている情報や画像などについて、一定の範囲で著作権の保護の対象とならないものもあります。

    著作権法上で定められていますが、たとえば、法律や裁判所の判決、時刻や天気などの事実などです。著作権者の死後70年以上経過した著作権物についても著作権はありません(著作権法51条2項)。

  4. (4)権利者の承認がある場合には引用や転載ができる

    著作権は、著作権者を保護するためのものです。そのため、著作権者が承認した場合は、引用や転載ができるようになっています。

2、勝手に引用することはできない

先述のとおり、引用するにあたっても、著作権者の承認が必要になるのが原則です。しかし常に承認を取っていては、社会的に不利益になるなどデメリットもあります。そのために、一定の場合は例外として権利者の承認がなくても引用することが認められます。

ここでいう「一定の場合」とは、条件が厳格に定められており、以下のすべてを満たす必要があります。

  • すでに公表された著作物
  • 公正な慣行に合致する
  • 報道、批評、研究などのための正当な範囲内
  • 引用部分とそれ以外の主従関係が明確
  • 引用部分が明確になっている
  • 出どころの明示

すでに公表されたとは、一般的に出版や放送、公表などがなされている場合を指します。なお、草稿段階などで個人の手元にある状態では、公表されたとはいえません。

引用部分はあくまで本論のための肉付けになるため、引用が本論より主にならないようにしなくてはなりません。また、引用部分と本論を明確に区別する必要があります。引用符、カッコ書きなどを活用しましょう。さらに、引用元について分かるように表示する必要があります。

たとえば、1600年代のイタリア歌曲の歌詞であれば、著作権は切れています。しかしその日本語訳が最近なされたものならば、日本語訳やそれを出版した会社に著作権があります。サイト上に引用するならば、引用元が分かるように書き添える必要があるでしょう。

3、著作権を侵害してしまうとどうなる?

著作権を侵害した場合は、著作権法違反の罰則と民事上の損害賠償責任を負うことになります。

  1. (1)著作権法違反の罰則

    著作権法に違反すると、刑事罰としての罰則を受けることになります。法定刑は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金またはその併科です(著作権法119条1項)。

    個人事業主は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金ですが、法人の場合は3億円以下の罰金が科せられます(著作権法124条1項1号)。さらには、法人のホームページなどで著作権法違反を犯した場合は、経営者にも罰則が科されることになります。これを両罰規定といいます。

  2. (2)民事上の損害賠償請求を受ける

    著作権が侵害されたことに伴って、著作権者に損害が発生した場合は、著作権者から損害賠償請求を受ける可能性もあります。

    民事上の損害賠償責任として、不法行為に基づく損害賠償請求が認められるためです。

  3. (3)その他の請求も受ける

    さらに、著作権が侵害された行為についての差し止め請求が認められます(著作権法112条)。せっかく開設しても、ホームページを閉鎖せざるを得ません。

    また、著作権侵害をして得た利益を不当利得の返還請求がなされる場合もあります。また、名誉回復措置を求められることも一般的にみられます(著作権法115条)。名誉回復措置とは、いわゆる謝罪広告を掲載するなどです。「無断で引用しました」とネットや新聞広告などで広く告知することは、自社のイメージを著しく損なうおそれもあるでしょう。

    このような事態にならないよう、著作権への配慮を十分に行う必要があるのです。

4、正しい引用のルールとは?

それでは、著作権を侵害しない引用のルールについて知っておきましょう。本項では、イタリアンレストランの新メニュー紹介に、著名人が現地でこの料理を食べたときのコメントを引用したいという場合を想定して解説します。

著名人の感想部分は、引用の記号を用います。そして、引用部分は四角で囲いをつけるなど他の部分と明確に区別しましょう。感想が最初に書かれた雑誌やサイト、書籍があればその名前とページなどを記載します。

なお、サイトを作るにあたり、自分で撮影し、自分で文章を考えたものであれば、もちろん著作権は自分自身にあります。これら著作権の心配をする必要はありません。

5、まとめ

インターネット上に公開されている文章・写真・イラストの大半には著作権があります。安易に転載すると著作権侵害となり、会社に大きな損害を及ぼす可能性があるでしょう。なお、引用については一定の要件を満たす場合には認められています。

自社のホームページで他人の著作権を侵害しているかどうか心配な場合は、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスにお気軽にご相談ください。知財戦略に関する知見が豊富な弁護士が適切なアドバイスを行います。トラブルが発生したときはもちろん、リスクマネジメントでご活用いただける顧問弁護士サービスも提供しています。合わせてご利用ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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