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社員を解雇する際の注意点とは? 穏便に解決するために、悩める雇用主へ弁護士が解説

2019年06月26日
  • 労働問題
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社員を解雇する際の注意点とは? 穏便に解決するために、悩める雇用主へ弁護士が解説

平成31年2月、愛知県の青果卸売業者に雇用されていたベトナム人実習生が、業績悪化を理由に解雇されたことを不当として訴えた事件が和解したと新聞報道されました。労働組合が該当会社と団体交渉した結果、契約期間中の給与の一部を補償するという和解案で決着がついたようです。

たとえ雇用主が問題行動をする社員を解雇しようとしても、不当や無効を訴えられた場合は、使用者は裁判でお金と時間をとられることになります。社名も公になり、今後の求人活動などはもちろん、業務自体にも大きな影響を受ける可能性が懸念されます。

それでは、穏便に社員を解雇する方法はあるのかどうかについて、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、社員を解雇する場合の注意点とは

経営者にとって「辞めさせたい社員」がいたとしても、すぐに「明日から来なくてもいいよ」などと解雇することはできません。

  1. (1)退職勧奨するときの注意点

    雇用者などが辞めさせたいと思った社員に「退職してください」と声をかけたとしたら、それは退職勧奨と呼ばれるものになります。言葉ではなく、「退職合意書」にサインを求めたとしても同様です。

    この「退職勧奨」に法的拘束力はありません。そのため、相手が「法的拘束力はない」ことを知っていれば退職に応じることはないでしょう。

    むしろ、退職勧奨を頻繁に行うと、逆に不法行為に基づく損害賠償請求をされる立場になる可能性があります。退職勧奨の方法について、不安があるときは弁護士に相談することをおすすめします。また、退職勧奨による圧力で自分の意志に反して退職させられたとなれば、辞職であっても解雇扱いになる可能性も考えられます。

  2. (2)解雇するときの条件

    もし辞めさせたいと考える社員がいれば、解雇を検討することでしょう。しかし、解雇については労働契約法第16条によって、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。

    したがって、従業員を解雇するためには、業務にあたる労働能力の不足や勤務態度の不良などを理由に解雇を求めたとしても、この条文上の「社会通念上相当」であることを認められる必要があるということです。万が一、辞めさせたいと考えた社員を解雇したとしても、不当解雇であると訴えられたとしたら、社会通念上相当であることを証明する必要があります。証明できなければ解雇が無効であると判断され、解雇期間中の賃金等を支払わなければならない可能性があります。

  3. (3)処分を下せる条件

    規律違反や秩序違反行為を行う社員に対して行える可能性がある処分は、以下のものが想定できます。

    • 停職処分
    • 減給処分
    • 戒告処分
    • 懲戒解雇

    ただし、これらの処分は、「なにをどのようにしたら、この処分を設定している」というルールを就業規則によって設定しておく必要があります。

    社員が、定められた事由に抵触する行為をしたら処分を下すという流れを作っておくことをおすすめします。

2、社員を解雇する場合の注意点

協調性がない、他者の悪口を言う、セクハラをするなど、問題行動を起こす社員を穏便に解雇するためには、準備が必要です。

  1. (1)解雇予告をしよう

    もし辞めさせたいと思う社員を解雇しようとするときには、たとえ就業規則を定めていたとしても、労働基準法第20条によって、「少なくとも30日前」の解雇予告が必要であることを義務付けています。

    したがって、いきなり明日解雇というようなことは基本的にできません。もしも、「明日から来なくていい」など、今すぐ解雇しようとすると、30日分以上の給料を払うことになります。また、解雇日よりも30日よりも短い場合は、その分だけの差額の給料を支払わなければなりません。

    なお、前述の労働基準法第20条では、例外条件も明記されています。具体的には、天災事変などのやむを得ない理由のときと、「労働者の責に帰すべき理由」、つまり懲戒解雇のときです。しかし、懲戒解雇は重い処罰なので条件が厳しく、簡単にできるものではありません。もしも、不当解雇として裁判を起こされたら、敗訴する可能性がとても高いとされるのもそのせいです。

  2. (2)社員に自主退職を促す

    雇用者側から考えれば、社員自ら納得して辞めてもらうことによって、事後的な紛争防止になるでしょう。また、自主退職については、解雇予告期間などのルールや解雇の場合に要求される、「客観的合理的理由」も必要ありません。
    しかし、退職勧奨したら、社員が条件を出してきた、というケースもあるでしょう。

    その際は、よく協議をして、納得してもらってから辞めてもらうようにしたほうが、その後にもめることが少なくなると考えられます。ただし、後日になって、不当解雇を主張される状況も想定できます。当然のことながら口約束などではなく、書面等でしっかりとした約束を結ぶ必要があるでしょう。そのような状況を回避するためにも、あらかじめ、労働問題に対応した経験が豊富な弁護士に相談しながら退職勧奨を進めていくことをおすすめします。

3、あらかじめ準備しておくべき就業規則

前述のとおり、社員に辞めてもらうため、解雇するときには、きちんとした理由が求められます。その理由として挙げやすいものが、「就業規則違反」です。

  1. (1)解雇する理由となる就業規則

    就業規則とは、事業所で働く上での賃金や労働時間、労働条件などを定め、明文化したものを指します。労働基準法第89条の規定により、10人以上の事業所では、労働基準監督署長に届け出ることが義務付けられています。これに違反すると罰金30万円以下を科されるのでご注意ください。

    しかし、10人未満の事業所でも、きちんとした就業規則と処分規定を設けておくことを強くおすすめします。たとえば、あなた自身が「こんなことをされたら絶対に懲戒解雇だ」と思っていても、それが就業規則に明示されていない場合は、懲戒解雇処分にする根拠がないと判断されるケースがあるためです。

    社員の問題行動を100%防ぐ方法はありません。そこで、今後のリスクを避けるためにも、就業規則には「懲戒解雇とする条件」を予告しておくのです。そのような条件を明示しておけば懲戒解雇の有効性が必ず認められるというわけではありません。しかし、あらかじめ明示しておかなければ、辞めさせたいと思う社員に対して懲戒解雇したのち、裁判で争う事態になった場合、懲戒解雇の有効性が認められないことになるでしょう。

  2. (2)就業規則を周知させる

    就業規則は作成しただけでは意味がありません。労働基準法第106条1項に規定されているとおり、社員に周知しておく必要があります。

    まずはできるだけ、雇用契約時にひととおり読み合わせをしておきましょう。途中で周知することになるにしても、就業規則を確実に周知させる時間を確保することをおすすめします。その際に、懲戒解雇の対象になる行動を明確に伝えてください。

    さらには、誰でもいつでも就業規則を確認できる状態にしてください。万が一の際、「知りませんでした」と社員が主張する可能性があるためです。就業規則を作成して周知させることが重要なポイントとなります。

  3. (3)就業規則や雇用契約書のチェックを弁護士に頼むメリット

    社員を解雇するとき、就業規則や雇用契約書を根拠にしたいと考えるケースもあるでしょう。その場合に備え、弁護士と相談しながら規定や書類を作成することをおすすめします。

    労働問題に対応した経験がある弁護士であれば、就業規則や雇用契約書をくまなくチェックして、抜け穴がないかを確認します。周知させる前に指摘を受けて修正すれば、今後将来的に起きるかもしれない労働問題を未然に防ぐことができるかもしれません。ご自身で作成するケースであっても、最終的には弁護士にチェックしてもらうほうがよいでしょう。

    ただし、一度作成した就業規則は、頻繁に変えられるものではありません。したがって、慎重に作成することが望ましいでしょう。特に労働者にとって不利益になるような就業規則の変更は難しいと思ってください。

    たとえ就業規則を作成したとしても、労働者にとって不利益な内容であれば、大きなリスクが発生します。心配な場合は、すでにある就業規則や雇用契約書を一度弁護士にチェックを依頼してください。

    しばらくは変更をしなくて済むように、しっかりと作成しておきましょう。その後のトラブルにも強いものとなるでしょう。

4、まとめ

経営者にとって会社に辞めさせたい従業員がいたとしても、労働基準法等によって簡単に解雇することはできません。前準備をして話し合いをしながら、自主的に辞めてもらう方が事後的なトラブルを回避できる可能性もあります。ケースバイケースですが、解雇は最終手段と考えて、それまでにできることをやってから、退職勧奨、解雇予告と段階を踏んで行った方が、あとでトラブルになる確率を減らすことができるでしょう。

辞めさせたいと思う社員がいて悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスでご相談ください。豊富な法知識と労働事件に対応した経験に基づき、適切な対応をアドバイスします。ベリーベスト法律事務所では気になることを定期的に相談できる顧問弁護士サービスもご用意しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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