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下請法に違反すると受ける可能性がある罰則とは?

2021年04月19日
  • 一般企業法務
  • 下請法
  • 違反
  • 罰則
下請法に違反すると受ける可能性がある罰則とは?

最新の経済センサスによりますと、平成28年時点で名古屋市内には約12万8153件の事業所が存在しています。これらの事業所は、名古屋市内外にかぎらず互いにさまざまな取引関係を築きながら、運営を継続していると考えられます。

会社の取引関係は、互いに対等なものからいわゆる元請け・下請け関係にあるものなどさまざまです。特に元請け・下請け関係のように仕事を発注する側(親事業者)よりも仕事を受注する側(下請事業者)の力や立場が弱いとき、つまり互いのパワーバランスが不均衡な取引関係には、「下請法」という法律が関係してきます。この下請法には罰則規定が定められており、決して軽視できるものではありません。

そこで、本コラムでは下請法の概要と違反したときに受ける可能性がある罰則について、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、下請法とは?

下請法は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」といいます。この法律は、親事業者による下請事業者への優越的地位の濫用行為を取り締まることを目的としています。

製造業の下請取引における優越的地位を濫用する行為は、独占禁止法(独禁法)の規制対象でもあります。しかし、下請業者が親事業者との関係悪化を恐れるあまり、公正取引委員会等に親事業者の違反行為を報告することをためらう傾向がみられました。

そこで、「下請事業者に対する親事業者等の不当な利益を規制し、下請取引の公正化および下請事業者の利益の保護」を実現する目的で、独禁法の特別法として下請法が制定されているのです。

2、下請法の対象取引とは?

下請法の適用対象となる取引は以下の4つです(下請法第2条第1項~4項)。この4つの取引を総称して、「製造委託等」といいます(同法第2条第5項)。

なお、建築工事の下請取引については、建設業法において類似の規制が定められており、重複を避けるため、下請法の適用外とされています。

●製造委託
……物品(建築物を除く)の製造や加工を、発注者側で規格や品質を指定した上で、他社に委託すること。

●修理委託
……物品の修理の全部または一部を他社に委託すること。

●情報成果物作成委託
……各種デザインや映像・画像コンテンツ、ソフトウエアなどの作成を他社に委託すること。

●役務提供委託
……自社が提供する各種サービス(建設工事を除く)を他社に再委託すること。

3、親事業者と下請事業者の関係が成立する条件とは?

親事業者は規制主体、下請事業者は保護主体と位置付けられています(下請法第1条)。
親事業者と下請事業者の関係は主に、以下のような場合に成立すると規定されています(下請法第2条第7項~第9項)。

製造や、修理、プログラム作成や情報処理を委託したり、運送や倉庫保管を委託するケースでは、
・親事業者の資本金が3億円超、下請事業者の資本金が3億円以下(個人を含む)の場合
・親事業者の資本金が1000万円超3億円以下、下請事業者の資本金が1000万円以下(個人を含む)の場合

プログラム以外の情報成果物の作成を委託したり、運送・倉庫保管・情報処理以外に役務提供を委託したケースでは、
・親事業者の資本金が5000万円超、下請事業者の資本金が5000万円以下(個人を含む)の場合
・親事業者の資本金が1000万円超5000万円以下、下請事業者の資本金が1000万円以下(個人を含む)の場合

4、親事業者の義務とは?

下請法では、親事業者に対して以下の義務を課しています。

●書面交付義務(下請法第3条)
……下請事業者への発注に際して、下請事業者に委託した内容や下請代金の額・支払期日等を網羅的に記載した書面を交付する義務のこと。

●支払い期日を定める義務(同法第2条の2)
……下請事業者に対する代金の支払期日を納品を受けた日から起算して60日以内、かつ可能な限り短期間内に定める義務のこと。

●書類の作成および保存義務(同法第5条)
……下請事業者に委託した業務の内容や代金などを記載した書類(電磁的記録でも可)を作成し、2年間保存する義務のこと。

●遅延利息の支払義務(同法第4条の2)
……支払期日までに代金を下請事業者に支払わなかったとき、納品時から起算し60日を経過した日から、実際に支払いをするまでの期間について、その日数に応じ、未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う義務のこと。

5、親事業者の禁止行為とは?

下請法第4条では、親事業者に対して以下11項目の禁止行為を定めています。これらは、親事業者が当該行為の違法性を知っていたか否か、あるいは下請事業者との事前の合意の有無を問いません

●受領(ずりょう)拒否の禁止(下請法第4条1項1号)
……下請事業者側に責任がないのに、親事業者が発注した物品等の納品を拒むこと。

●支払代金の支払遅延の禁止(同法第4条1項2号)
……下請事業者に対して、納品後60日以内の範囲で事前に定められた支払期日までに代金を支払わないこと。

●下請代金の減額の禁止(同法第4条1項3号)
……発注時に定めた下請代金を、下請業者側に責任がないのに、親事業者が一方的に減額すること。

●返品の禁止(同法第4条1項4号)
……下請業者側に責任がないのに、親事業者が納品を受けた物品等を返品すること。

●買いたたきの禁止(同法第4条1項5号)
……類似した物品やサービスの市場価格と比較して、不当に低い下請代金を定めること。

●購入・利用強制の禁止(同法第4条1項6号)
……正当な理由がないのに、親事業者が指定する物品やサービスを、下請事業者に強制的に購入・利用させること。

●報復措置の禁止(同法第4条1項7号)
……親事業者の下請法違反行為を下請事業者が中小企業庁や公正取引委員会に知らせたことを理由に、親事業者が下請事業者に対して不利益な扱いをすること。

●有償支給原材料等の対価を早期決済することを禁止(同法第4条2項1号)
……下請業者側の責任がないのに、親事業者が下請事業者に対して有償で支給した原材料等の対価を、それにより完成する物品等の代金支払期日よりも早く支払わせたり、相殺したりすること。

●割引困難な手形の交付の禁止(同法第4条2項2号)
……下請代金の支払期日までに一般の金融機関では割引できない手形を、代金の支払いとして下請事業者に交付すること。

●不当な経済上の利益の提供を要請することを禁止(同法第4条2項3号)
……下請事業者に対して、不当に金銭や労務の提供等をさせること。

●不当な給付内容の変更、および不当なやり直しの禁止(同法第4条2項4号)
……下請業者側に責任がないのに、下請事業者の負担で注文内容の変更および納品を受けた物品・サービスのやり直しをさせること。

6、下請法に違反するとどうなる?

下請法の違反が認められると、罰則だけでなく民事上・風評上のリスクが生じる可能性があります。そして、これらが事業の運営に与える影響は決して軽くないと考えられます。

  1. (1)下請法上の罰則

    下請法上第10条および同法第11条の規定により、以下の行為が認められた場合、親事業者には50万円以下の罰金が科されます

    • 同第3条1項に規定する下請事業者への書面交付義務をしなかった場合。
    • 同第5条に規定する書類の作成および保存をしなかった場合、あるいは虚偽の記録を作成した場合。
    • 公正取引委員会や中小企業庁の検査を忌避したり、虚偽の報告をした場合。

    なお、下請法第4条による禁止行為は、独禁法2条第9号に定める優越的地位の濫用行為に該当しますが、親事業者が公正取引員会の勧告に従った場合は、下請法第8条の規定により独禁法による排除措置命令や課徴金納付命令は出されないとされています。

  2. (2)民事上のリスク

    代金減額や不当返品といった違反があった場合、親事業者は、公正取引委員会の指導や勧告に基づき、下請業者に対する支払いを指導、勧告されることになります。

    また、親事業者による下請法あるいは独禁法違反により下請事業者に損害が生じている場合、下請事業者から、調停や裁判外紛争解決手続(ADR)を申し立てられたり、損害賠償を求める民事裁判で訴えられたりする可能性もあります。

    裁判は長期にわたることも珍しくありません。その間、裁判に要する手間や時間、費用などが生じます。また、もし和解や判決で確定した、損害賠償の支払いなどの内容に親事業者が応じない場合、下請事業者の申し立てにより裁判所から強制執行を受けることがあります。

  3. (3)風評上のリスク

    下請法違反について公正取引員会から勧告を受けた場合、企業名が公表されます。また、裁判の内容や結果は公開されます。親事業者に下請法違反があったという事実が業界内に知れ渡れば、法令違反を犯した会社との取引を敬遠する他社との取引関係などに悪影響が生じ、最悪の場合は会社の経営が行き詰まる可能性もあるでしょう。

7、まとめ

下請法で定められている親事業者の義務や禁止行為は、「知らなかった」では済まされません。また、下請法のほかにも、事業を運営していくうえで関係してくる法律は多々あります。

知らずに法令違反を犯すと、事業の運営ができなくなったり、刑事罰を受けたりすることがあるのです。このことから、下請法に限らず、普段から必要な法令順守体制を整えておくことは、事業の継続において非常に重要なのです。

そこでおすすめしたいのが、顧問弁護士の活用です。
顧問弁護士とは、一定の顧問料を支払い締結した顧問弁護士契約の範囲内で、依頼人の法務関連業務に常時かつ優先的に対応する弁護士のことです。

また、顧問弁護士は専属性のある弁護士であるため、紛争となった相手方からは依頼を受けません。顧問弁護士は依頼人にとって専属性がある心強いパートナーでもあるのです。

ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスでは、ワンストップで対応可能な顧問弁護士サービスを提供しており、顧問弁護士契約締結先からは、さまざまな法務相談を承っています。ご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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