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長時間労働の労災認定基準と申請方法は? 病気の種類や過労死ラインも知っておこう

2020年03月11日
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長時間労働の労災認定基準と申請方法は? 病気の種類や過労死ラインも知っておこう

仕事が原因でケガや病気、障害や死亡に至ることを労災(労働災害)といいます。労災に遭ってしまった場合、労働者災害補償保険法に基づいて一定の給付を受けることができます。
長時間労働で心身に不調を来たした場合も条件を満たせば労災認定されますので、無理をせずに心と身を休めるためにも、認定の基準を知っておきましょう。また、長時間労働がもたらすと考えられている症状についても確認し、不調を感じたらできるだけ早く対処されることが大切です。
この記事では、長時間労働による労災をテーマに、認定基準や条件、申請方法を中心に解説します。

1、労災認定基準とは?

労災認定基準とは、ケガや病気が「仕事に起因している」か否かを判断するための基準です。
この判断は労働基準監督署が行い、認められると保険給付が受けられます。

  1. (1)労災認定される条件

    労災認定基準には、「業務遂行性」「業務起因性」という2つの判断基準があります。この2つを満たせば、基本的には労災として認定されます。

    業務遂行性とは、仕事中のケガや病気なのかという判断基準です。
    典型的なのは工場の機械でケガをしたようなケースですが、事業場内でトイレ休憩している場合や、外回りの営業や配達員のように事業場外で作業している場合も、業務遂行性が認められます。

    業務起因性とは、仕事が原因でケガや病気をしたのかという判断基準です。
    たとえば、業務で重量物を持ち続けて腰痛になれば業務起因性があり、趣味のスポーツで発症した腰痛には業務起因性がないと考えられます。

  2. (2)労災認定されないケース

    まずは、「業務遂行性」と「業務起因性」を満たしていないケースです。たとえば、仕事中のケガ(業務遂行性は満たす)であっても、社内設備の欠陥によってケガをすれば業務起因性がありますが、私的なけんかなどによって負傷した場合、業務起因性はないと判断されます。

    また、故意に事故を起こした場合は労災認定されず、飲酒運転や信号無視など、犯罪行為や重大な落ち度があった場合には給付の全部または一部が制限されます。

  3. (3)長時間労働で受け取ることのできる給付は?

    長時間労働を原因とした疾病も労災の対象となり、次のような給付を受けられる可能性があります。

    療養(補償)給付
    治療(現物給付)や治療費

    休業(補償)給付
    賃金の6割相当額と、休業特別支給金として賃金の2割相当額

    傷病(補償)年金
    療養開始後1年6か月経過しても治癒せず、傷病等級に該当した場合の年金と一時金

    障害(補償)給付
    障害等級に応じた年金または一時金


    このほか、介護に関する給付や亡くなった場合の遺族に対する給付などがあります。

2、長時間労働における労災認定基準

長時間労働を原因とする疾患は、主に「精神疾患」「脳・心臓疾患」に分けられます。

  1. (1)精神疾患を発症した場合

    具体的には次の3つの視点から心理的負荷の強度が「弱」「中」「強」などで評価され、業務起因性の判断がなされます。下記のケースのように心理的負荷の強度が「強」と評価されなければ、労災としては認定されません。

    ●「特別な出来事」としての「極度の長時間労働」
    発症直前1か月における、おおむね160時間以上の時間外労働
    発症直前3週間における、おおむね120時間以上の時間外労働

    ●「出来事」として心理的負荷の強度が「強」と判断される長時間労働
    発症直前の2か月連続して1か月あたりおおむね120時間以上の時間外労働
    発症直前の3か月連続して1か月あたりおおむね100時間以上の時間外労働

    ●長時間労働と他の出来事が総合して評価される場合
    転勤後の新たな業務について月100時間程度の時間外労働を行った場合

    月100時間程度の時間外労働を行った後に仕事で大きなミスをして、その後すぐに発症に至っている場合などには、上記の基準を満たさずとも、総合評価として「強」と判断されます。
  2. (2)脳・心臓疾患を発症した場合

    次の3つのいずれかに該当すると、業務起因性があるとして労災と認められる可能性が高いでしょう。

    • 発症直前から前日までに「異常な出来事」に遭遇した
    • 発症前おおむね1週間に特に過重な業務に就いた
    • 発症前おおむね6か月に著しい疲労を蓄積させる特に過重な業務に就いた


    「異常な出来事」とは、業務上、強度の精神的・身体的負荷がかかる事態や、急激で著しい作業環境の変化があった場合です。

    「特に過重な業務」は、不規則な勤務形態や深夜労働、精神的緊張をともなう業務などさまざまな負荷要因がありますが、これには長時間労働も含まれます。

    「著しい疲労を蓄積させる」重大な要因である労働時間について、業務と発症との関連性が強いと評価される基準は次のとおりです。

    • 発症前1か月間に100時間を超える時間外労働
    • 発症前2か月~6か月の平均で月80時間を超える時間外労働

3、過労死ラインとの関係

過労死とは業務に起因して健康障害(脳・心臓疾患)が生じ亡くなってしまうことをいいます。

  1. (1)過労死ラインとは

    長時間労働は特に健康障害との関連性が大きいとみられていますが、脳・心臓疾患については、加齢、食生活、生活環境などの日常生活による要因や遺伝等による要因によっても発症しうるものであるため、「仕事を主な原因とするか(業務起因性)」について基準が定められています。これを俗に「過労死ライン」と呼んだりします。

    具体的には、発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合と、発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合に、業務と発症との関連性が強いと判断されます。

    上記の基準を満たさない場合であっても、過労死か否かの判断においては、時間外労働が月に45時間を超えて長くなるほど業務と発症との関係性が強まっていくと考えられており、労働時間以外の要因も含めて総合的に評価されます。

  2. (2)長時間労働がもたらす症状

    長時間労働によって引き起こされる健康障害とは、脳疾患、心臓疾患、精神疾患などをいいます。

    • 脳疾患……脳出血やくも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症など
    • 心臓疾患……心筋梗塞、狭心症、解離性大動脈瘤、心停止など

4、労災申請をする方法

長時間労働を原因として健康障害が生じ、労災申請をする際は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署(労基署)へ書類を提出します。
会社には労災が発生した際に申告をする義務がありますので、まずは会社へ労災の申請手続きを求めてみましょう。
もし会社から難色を示された場合、ご自身が直接申請を行うことも可能です。
そこで、主な給付の申請方法と、申請に関する注意点をお伝えします。

  1. (1)療養(補償)給付

    労災指定医療機関で治療した場合には、医療機関を経由して「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)または「療養給付たる療養の給付請求書」(様式第16号の3)を提出します。やむをえず労災指定がされていない医療機関で治療を受けた場合は、いったん治療費を負担し、あとで労基署へ申請書を提出することになります。

  2. (2)休業(補償)給付

    医師と事業主の証明を受けたうえで、「休業補償給付支給請求書」(様式第8号)もしくは「休業給付支給請求書」(様式第16号の6)を、所轄の労基署に提出します。賃金台帳や出勤簿などが必要になる場合は会社に求めます。

  3. (3)傷病(補償)年金

    治療を開始して1年6か月経過しても治癒する見込みがなく、障害の程度が傷病等級に該当する場合は、傷病(補償)年金を受けられる可能性があります。ただし、請求すれば受けられるという性質のものではなく、労働基準監督署長の職権によって決定されるものです。

    まずは、療養開始から1年6か月を経過した日から1か月以内に、「傷病の状態等に関する届」(様式第16号の2)を所轄の労基署に提出します。
    もしこの時点で、傷病(補償)年金が支給できる要件に該当していないときは、引き続き休業(補償)給付が支給されることになります。その場合は、毎年1月分の「休業(補償)給付の請求書」を提出する際に、「傷病の状態等に関する報告書」(様式第16号の11)を併せて提出する必要があります。

  4. (4)障害(補償)給付

    業務中または通勤中のケガなどが、いわゆる「症状固定」状態となり、障害等級に該当する身体障害が残ったとき、障害等級に応じた障害(補償)給付を受けられます。

    請求手続きは、本人が直接労基署へ「障害補償給付支給請求書」(様式第10号)または「障害給付支給請求書」(様式第16号の7)を提出します。

    症状固定の翌日から5年で時効を迎えますので、できるだけ早く申請しましょう。障害等級に応じて、年金になるか一時金になるか、またその額も大きく変わります。決定に不服があれば異議の申し立て(審査請求)ができます。

  5. (5)精神疾患で労災申請をするときの注意点

    厚生労働省は、平成23年12月以降、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を新たに定め、これに基づいて労災認定を行っています。具体的には以下3つの要件に該当しなければ、労災として認定されることはないでしょう。

    • 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
    • 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
    • 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと


    たとえば、親族の死や離婚など、業務以外の出来事による強い心理的負荷があれば、それを理由に精神疾患を発症したものとして労災として認定されないかもしれません。

    このように、労働者本人がいくら仕事による精神疾患の発症に違いないと考えていても認定されないことがある点に注意が必要です。既往歴なども含め、「同種の労働者が一般的にどう受け止めるか」という客観的な視点で慎重に判断されることになります。

5、労災認定を受けたあと、弁護士に相談するメリット

労災認定の申請が終わり、給付を受けることができれば、治療に専念できると安心する方も多いでしょう。他方で、労災の認定結果に不満を抱えている方や、無事に仕事復帰できるのかどうか不安に思っている方もいるかもしれません。

労災認定を受けたことは必ずしもゴールではありません。労災認定を受けているからこそ、弁護士に相談・依頼するメリットがあるのです。

  1. (1)会社への損害賠償請求に対応できる

    労災保険から支払われるのは損害額のほんの一部です。「慰謝料」は、労災により精神的な苦痛を与えられたことへの補償ですが、労災保険から「慰謝料」は支払われません。

    慰謝料や逸失利益など、労災により生じた損害の全額の賠償を受けるためには、会社に損害賠償請求をする必要があります(この場合、労災の発生について会社に責任があることが必要です)。弁護士が法的手続きに対応し、あなたの代理人としてサポートすることで、納得できる損害賠償金を手にできる可能性が高まります。

  2. (2)会社との交渉やリスク回避ができる

    労災が認められると会社は保険料が増加したり対外的なイメージが悪化したりする可能性があるため、必ずしも申請に協力的ではありません。

    特に長時間労働の場合は判断基準が複雑ですし、そもそもケガと異なり、脳や心臓疾患、精神疾患については、業務以外の要因から発症することも多く、業務と発症との間の因果関係があいまいになりやすいため、労使の主張が食い違うこともしばしばあります。場合によっては、「長時間労働を理由に労災を主張するような従業員は雇っていられない」などとして解雇などの暴挙に出てくるといったリスクもあるでしょう。

    弁護士に依頼すれば、会社との交渉を任せることができ、不当解雇などの不利益を被るリスクを回避することが期待できます。

    また、長時間労働に起因する疾病によって労災の申請をお考えであれば、相当の残業をしていらっしゃるでしょう。残業代が適切に支払われていないのであれば、併せて残業代請求を行うことをおすすめします。弁護士に依頼すれば、労災に関する交渉だけでなく残業代請求の手続きも行うことができます。

6、まとめ

今回は長時間労働による労災の認定基準について解説しました。労災と聞くと一般的に業務中の事故をイメージされる方が多いですが、長時間労働が原因で生じた精神疾患や脳・心臓疾患などについても労災認定の対象となります。

労働時間が過労死ラインを超えている場合や近い状態にある場合は、まずはご自身の健康状態に留意することが大切ですが、すでに症状がみられるのであれば早めに対処しましょう。

長時間労働をはじめとする労働問題でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスへご相談ください。労働問題の解決実績が豊富な弁護士が、会社への損害賠償請求などを含め、全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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