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農家の離婚は財産分与に注意 農地の財産分与時のポイントとは

2021年09月27日
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農家の離婚は財産分与に注意 農地の財産分与時のポイントとは

愛知県のデータによると、2019年中の愛知県内の離婚件数は12342組で、前年比311組の減少となりました。

離婚をする際、金銭的な条件面で大きなインパクトを持つのが「財産分与」です。財産分与では、夫婦の財産を公平に分けることになりますが、農家を営んでいる場合には、財産の大半が農業用の土地(農地)というケースもよくあります。この場合、財産分与の際に農地の処理が問題になりやすいので、法律上の取り扱いを正しく理解しておきましょう。

この記事では、農家の夫婦が離婚する場合に、財産分与に関して注意すべき点などについて、ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスの弁護士が解説します。

1、そもそも財産分与とは?

まずは、一般的な財産分与に関する基本的な知識について解説します。

  1. (1)離婚時に夫婦の財産を公平に分けること

    財産分与とは、夫婦が離婚をする際に、夫婦が協力して築いた財産などを公平に分ける法律上の手続きをいいます(民法第768条第1項、第771条)。

    一般的には、収入や財産が多い方から少ない方へと、金銭またはその他の財産を譲り渡すことが、離婚協議書や調停調書に記載されます

  2. (2)財産分与には3種類ある

    財産分与には、理論的には以下の3種類があるとされています。

    ① 清算的財産分与
    夫婦が結婚後に協力して作った財産を、夫婦間で公平に分ける意味での財産分与をいいます。

    ② 扶養的財産分与
    一方が専業主婦(主夫)で収入がない場合や、夫婦間の収入にかなり差がある場合に、離婚後の一定期間について生活保障を行う意味での財産分与をいいます。

    ③ 慰謝料的財産分与
    離婚の原因を作った側から配偶者に対して、精神的損害の穴埋めとして支払われる上乗せのような財産分与をいいます。

    ただし精神的損害の穴埋めは、別途「慰謝料」という名目で行われることもあり、その境界線は曖昧です。


    家庭裁判所が、調停が不成立となった後の審判や裁判で具体的な財産分与の金額を決定する際には、上記の3つの要素を総合的に考慮して、適正な金額が定められることになります(民法第768条第3項参照)。

    基本的には清算的財産分与の考え方を中心としつつ、扶養的財産分与や慰謝料的財産分与の要素を加味するという形がとられることが多いです

  3. (3)財産分与のプロセス

    財産分与を行う場合、まず夫婦が結婚後に協力して所有するに至った財産をすべてリストアップし、評価が必要な財産については金銭評価を行います。

    その後、全財産の評価額の合計を求めたうえで、夫婦間での財産分与割合を決定します。

    全財産の評価額に財産分与割合をかけると、夫婦それぞれが受け取るべき金額が求められますので、現状所有している財産との差額を金銭などで精算するというのが、財産分与の基本的なプロセスになります。

    たとえば、結婚後購入し、ローンを完済した、1000万円相当の夫名義の土地と、給料などを貯金して夫名義の預貯金が1000万円、妻名義の預貯金が200万円であった夫婦の場合を例にしますと、全財産の評価額の合計は2200万円となり、財産分与割合を5対5とした場合、1100万円をそれぞれが保有する計算となりますから、夫がそのまま土地を保有する場合、妻に対して900万円を支払って清算することになります。
    協議離婚・調停離婚の場合は、上記の内容をすべて当事者間の話し合い・合意によって決定します。

    一方、裁判離婚の場合は、上記の内容について家庭裁判所が事実認定を行い、具体的な事情に応じて、家庭裁判所が適正な財産分与の金額・方法を定めることになります。

2、農家の妻が受け取れる財産分与の割合は?

財産分与割合がどの程度になるかは、離婚をする当事者の、重大な関心事のひとつでしょう。

協議離婚・調停離婚であれば、財産分与割合は夫婦が自由に決められますが、大まかな相場は以下の考え方に基づきます。

  1. (1)基本的には5割

    財産分与は夫婦が協力して得た資産を公平に分ける手続きなので、財産分与割合は、対象財産の半分(5割)となるのが原則です。

    なお、夫婦のいずれかが結婚前から所有していた財産や、明らかに夫婦のいずれか一方の力だけで築き上げた財産、相続などで取得した財産は、財産分与で分けられません。従って、対象となる農地が相続などによって配偶者名義となった場合は、原則として財産分与の対象とはなりません

    ただし、婚姻中に給与などをもとに取得した財産であれば、よほど特別な事情がない限りは、その名義がどちらであるかにかかわらず、夫婦が協力して築き上げた共有財産として取り扱われます(民法第762条第2項参照)。

  2. (2)農業経営に対する貢献度も考慮される

    夫婦の本業が農業である場合、農業経営への貢献度がどの程度あったかについても、財産分与割合を決定する際に考慮されることがあります。

    たとえば、夫がメインで農業を経営しており、特別な経営の才覚や品種改良の成功などによって非常に高額の売り上げを上げていた場合、財産分与割合は夫に有利に傾く可能性があります。

    もっとも、このような特別の事情のない限りは、片方が専業主婦(夫)であっても、その協力があって初めて他方は働くことに専念することができたのですから、通常は分与の割合は半分ずつとなります

3、農地は自由に譲渡できないことに注意

農家の夫婦が財産分与を行う場合、農地をどのように分けるかということがネックになりがちです。

農地を財産分与する際には、以下の点に注意する必要があります。

  1. (1)原則として農業委員会の許可が必要

    農家の夫婦が離婚をする場合、いずれか一方は農業から離れて都市部で生活をするため、農地はいらないというケースも多いでしょう。

    その場合は、農地の一部を処分して現金化し、金銭によって財産分与をするという方法も考えられるところです。

    しかし農地法第3条により、農地を第三者に対して譲渡する場合は、農業委員会の許可を受ける必要があります

    そのため、農地を処分して財産分与を行うことを夫婦間で合意し、さらに売却先が見つかったとしても、それだけで勝手に農地を売却できるわけではない点に注意しましょう。

    なお、農業委員会の許可を得ずに農地を処分した場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処される可能性があります(同法第64条第1号)。

  2. (2)調停離婚・裁判離婚の場合は例外的に許可不要

    離婚裁判または離婚調停の結果に従って、農地を夫婦の一方から他方に譲渡する場合については、例外的に農業委員会の許可は不要となります(農地法第3条第1項第12号)。

    ただし、これはあくまでも農地自体を夫婦間で分与する場合に限られます。

    たとえば、離婚後に妻が農地を夫から財産分与で譲り受け、そこで農業を営むつもりがあるという場合には、協議離婚ではなく調停離婚をあえて選択したうえで、農業委員会の許可を得ることなく、農地を譲り受けるという方法が有効です。

    これに対して、農地自体の分与が行われるのではなく、あくまでも農地を第三者に処分して金銭による財産分与をする場合には、裁判離婚・調停離婚の場合であっても、処分には農業委員会の許可が必要となることに注意しましょう。

4、財産分与以外に離婚のために準備すべきこと

離婚後はこれまでとは全く違った生活が待っているでしょう。きちんと生活できるよう、生活基盤を整えなければなりません。

特に経済的な観点から困難な状況に陥るケースが多いため、離婚をする前には、以下のことに注意して準備を整えておきましょう。

  1. (1)次の生活拠点・仕事を見つける

    離婚後の生活へとスムーズに移行できるように、離婚の話を切り出す前から、ある程度生活拠点や仕事のめどを付けておきましょう。

    特に最近では、新型コロナウイルスの影響も相まって、オンライン相談・面接を実施している事業者も増えています。
    離婚後の生活についての不安をできるだけ少なくするため、できる準備はすべて行っておきましょう。

    その他、お子さんの親権者となる場合には、ひとり親家庭として転居先の行政からどのような支援を受けられるのかなども事前に確認しておくとよいでしょう。

  2. (2)子どもの親権・養育費・婚姻費用などの離婚条件を検討する

    財産分与以外にも、離婚に関する条件面で合意しておくべきことは数多くあります。

    たとえば以下の条件について、夫婦間の話し合いによって取り決めることが必要です。

    1. ① 子どもの親権
    2. ② 養育費
    3. ③ 婚姻費用(婚姻中に別居期間が発生する場合)
    4. ④ 面会交流の方法
    5. ⑤ 慰謝料の有無
    6. ⑥ 年金分割(厚生年金への加入期間がある場合)


    離婚に関する条件交渉に取り掛かる前に、上記の各事項について、法律上はどの程度の条件を獲得できる可能性が高いのかについて見積もっておくことをおすすめいたします

    法律上の基準がある程度把握できていれば、実際に離婚協議で相手から条件を提示された際に、受け入れて良いのかどうかを判断しやすくなるためです。

    より良い離婚条件を勝ち取ることができれば、離婚後の新たな生活において大きなプラスとなります。
    離婚を検討している方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスにご相談ください。

5、まとめ

農家の離婚においては、農地を勝手に処分できないという法律上の制約が存在するため、財産分与の方法を法的な観点から慎重に検討する必要があります

また離婚時には、財産分与以外の諸条件についても、法律を踏まえた検討・交渉を行うことが重要です。

ベリーベスト法律事務所では、農地の財産分与など複雑な法律問題についても、離婚専門チームが中心となってサポートいたします。
有利な形で離婚を実現できれば、その後の生活がぐっと楽になることでしょう。

農家を営む夫と離婚することを検討している女性の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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